きょう、有田芳生さんが初質問した。
舞台は拉致問題特別委員会。
金賢姫の「もう一人の日本語教師」は1960年に行方不明になった木村かほるさん(写真)という「特定失踪者」ではないかという質問にはじまり、中国の領事館に保護された脱北者が2年も中国政府の妨害で出国できないでいる事実、特定失踪者問題調査会の北朝鮮むけラジ放送「しおかぜ」など民間の努力への政府支援の強化、拉致問題対策への民間人の参加など、我々の聞きたい問題をかなりもりこんでいた。
「しおかぜ」支援を増額する方向で考える、などの答えを引き出し、成果があったと思う。
有田さんのブログでは:
《10月20日(水)拉致問題特別委員会で30分の初質問。予定した項目はすべて語ったものの、最後の方は急いでの対応になってしまった。短波放送「しおかぜ」ヘの財政支援の増強は柳田稔大臣がきっぱりと認めてくれた。「特定失踪者」のひとりである木村かほるさんについての質問は、流れのなかで問題がどこにあるかを説明したつもりだが、本来ならもっと丁寧に時間をかけて行うべきだが、限られた時間では仕方がない。少人数の委員会でもブツブツと自民党席から大臣に野次が飛んでいた。「あれがない、これがない」式の質問は、仮にそうではあっても建設的ではない。たとえば大臣がブルーリボンを付けないのはけしからんといった批判も、半ばわかる。しかし拉致問題解決で実際に行動するために「あえて」つけないこともある。それが戦略であるときもある。アリバイとしてのブルーリボン、決意としてのブルーリボン。それぞれであって「踏み絵」としてのブルーリボンであってはならない。必要なのは行動なのだ》
木村かほるさんについては、きのう特定失踪者問題調査会が会見で明らかにしていた。
《1960年に秋田市で行方不明となった木村かほるさん=当時(21)、青森県八戸市出身=について、北朝鮮の金賢姫元工作員が「日本語を教わった先生によく似ている」と証言していたことが19日、分かった。特定失踪者問題調査会の荒木和博代表が明らかにした。
秋田県警は今年8月、木村さんの姉からDNA型を採取。拉致が疑われる失跡者として調査会が把握する中で、家族がDNA型を採取されたのは初めてという。荒木代表は「本人と思われる人が現れた時に確認するためだろう」としている。
荒木代表によると、金元工作員が証言したのは、拉致被害者の田口八重子さん=同(22)=の兄飯塚繁雄さん(72)らと韓国で面会した昨年3月。木村さんの写真を見て、北朝鮮で日本語を教わった「崔順(チェスン)」という女性に酷似していると話した。その後、政府関係者にも同じ証言をしたという。
木村さんは看護学校卒業直前の60年2月27日、失跡。調査会は「拉致の疑いが濃厚」としており、2007年には、平壌に82年に連行されたタイ人女性3人が「日本語の先生によく似ている」と証言したとも発表した》
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010101900670
今ごろになって、とは思うが、本人であるかどうか、すぐに事実関係を確認すべきだ。家族や関係者からの証言と金賢姫のそれとを付き合わせる作業はまだされていないようだが、動きが遅すぎはしないか。
有田質問に関する記事は以下:
《松本剛明外務副大臣は20日、参議院拉致問題特別委員会での答弁で、これまで日本に入国した北朝鮮脱出住民(脱北者)について「100人を超える」と明かした。詳細については触れなかった。有田芳生議員(民主党)の質問に答えた。
入国した脱北者は、帰還事業で北朝鮮へ渡った在日朝鮮人や日本人妻、その家族が大半とみられる。北朝鮮の人権問題に取り組む民間団体などは、実際には約180人が入国したと推定している。
有田氏は、中国国内の日本の大使館などに現在も計十数人の脱北者が滞在し、長い人は2年近く出国できない状態が続いているとの情報があるとして政府に対応を要請。
前原誠司外相は、一般論と断った上で「保護された脱北者の早期出国は、関係国の意向を踏まえて働き掛けをする」と答えた》(共同)
脱北者の領事館留め置きは中国政府の「脱北者を保護するなよ」という圧力なのだが、これがますます深刻化している。これも立派な人権問題で、日本政府はきちんと申し入れてほしい。今回、質問で一定の答弁を引き出すことができたが、他の議員もさらに追及してほしい。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20081221
質問は動画で見られるので、ぜひアクセスしてみてください。27分からが有田さんの登場です。
「北朝鮮による拉致問題等に関する委員会」
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php