福島原発で何が起きているのか2

福島第一原発では、放水が続けられている。
《福島第1原発では大量放水が行われた3号機に続き、20日、自衛隊が4号機の使用済み核燃料プールに対する放水を始めた》
いま行われているのは、水位が低下してむき出しになった3号機と4号機の使用済み燃料のプールに対する注水だ。水素爆発(3号機)と火災(4号機)で、ともに建屋屋上が破壊されているので、外からの放水でプールに水を届けられるわけだ。
原子力関連の事故で困るのは、放射線の値が高いと、人間の近づける範囲と滞在できる時間が限られ、作業がいちぢるしく妨げられることだ。ヘリからの放水でも危険なので高度を下げられず、水をプールに命中させることができなかった。
使用済み燃料の方を先に手当てするのは、放射線量を下げ作業環境を確保しようという意図だろう。発表では、放射線量は多少下がって効果が出ているという。

後藤政志氏は、17日の緊急院内集会でも解説しているが、(http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=1027)、これによると、予想される危険は以下のようになる。
A
1. 原子炉が冷却できないと炉心が溶融して、原子炉の底にデブリ(溶融物)が落ちる。
2. さらに冷却できないと、原子炉容器の底が抜ける。
3. デブリが格納容器の床を突き抜け、コンクリートと反応し、大量の水素ガス等を出す。
4. この段階で、格納容器が破損するので、大量の放射性物質が外に出る。
B
1. 冷却に失敗すると、事故の進展に伴い、水素爆発、水蒸気爆発あるいは再臨界が起こりうる。
2. 大規模な爆発現象が伴うと、大量に放射性物質が飛び出し、チェルノブイリ事故のようになる。
3. 爆発を起こさない場合には、徐々に放射性物質が外部に出続ける可能性がある。
C
1. 原子炉建屋の上部のプールに使用済み燃料が大量に貯蔵されている。
2. 冷却できなくなると、使用済み燃料が溶融し、同様に放射性物質をまきちらされる可能性がある。

この間、使用済み燃料用プールへの放水のニュースばかりで、肝心の原子炉の中がどうなっているのかが心配だ。2号機はすでに15日、格納容器内の高濃度放射能を含む蒸気を放出したあと、爆発が起きて格納容器が破損している。相当に深刻な事態になっていると思うのだが。
明るいニュースとしては、電源のめどがついたことと、5、6号機で冷却機能が回復したことだ。
東京電力は、外部から送電線がつながった1、2号機で機器の点検を実施、原子炉や使用済み核燃料プールの冷却機能を復活させるため、通電に向けた作業を進める。
 非常用発電機の一部が復旧した5、6号機では使用済み核燃料プールで冷却機能が回復。5号機での水温低下に続き、6号機でも19日午後11時に67.5度だったプールの水温が、20日午前3時に52度になった》
もし、幸運にも1〜4号機の電源以外のシステムが破壊されておらず、通電して冷却機能が復活すれば、とりあえず今すぐの破局は免れることができそうだ。
現場で作業に当たる人々は、まさに決死隊だ。感謝の気持ちで応援している。
幸運を祈る