この間の福島原発をめぐる動きをみると、ますます心配になってくる。
先月18日、保安院は、福島第一原発1〜3号機の燃料は、「損傷」しているが「溶融」ではないとの立場を変えて、「溶融」していると認めた。
それが先週13日、枝野官房長官は記者会見で、1号機では核燃料が溶け落ちる、いわゆる「メルトダウン」が起きている可能性が高いことを明らかにした。
「燃料の集合体が溶融をして、燃料集合体としての形状が維持できなくなり溶けたものが重力によって下の方に落ちるという状況が、1号炉において生じている可能性が相当高い」という。
そして、圧力容器にも、その外の格納容器にも「穴」があいて水漏れしていることがほぼ確実になった。
《第1原発1号機で燃料棒を収めている圧力容器が損傷し、大量の水漏れが起きていることが12日、明らかになった。東電は同日夕、圧力容器の底に合計で数センチ相当の複数の穴が開いている可能性もあるとの見解を示した。17日には同原発事故の収束までの課題を示した新しい工程表を発表するが、現在の工程表で盛り込まれていなかった「圧力容器の破損」という事態に、計画の見直しを迫られることは必至だ。
先月17日に示された工程表は、6〜9カ月以内に原子炉の温度を100度未満の「冷温状態」にすることを目標に、3カ月以内に行う対策の上位に燃料域上部まで格納容器を水で満たす「水棺」の実施を挙げている。燃料のある圧力容器(360立方メートル)に注水し、そこから水をあふれさせて格納容器(7400立方メートル)に冠水させるという手法だ。(略)
東電は燃料を冷やすため、毎日150立方メートルの水を圧力容器に注水し、これまで累計1万立方メートルを入れた。しかし、高さ20メートルある圧力容器の水位は高くても4メートルで、格納容器から漏水していることも指摘されている。
圧力容器の底には、燃料の核反応を止める制御棒を駆動させるための装置が貫通しており、溶けた燃料の熱で溶接部に穴が開いた可能性がある。注水量と貯水量との比較などから、東電は穴は複数あり、大きさの合計は数センチ程度と推定した。また、大量の水や水蒸気が圧力容器の損傷部から格納容器側に漏れ出し、さらにその水が格納容器につながっている圧力抑制プールやタービン建屋に漏れ出している恐れがある。
1号機は2、3号機に比べて冷却に向けた準備が最も進んでいた。「モデル」とされた1号機の新たなトラブルは「6〜9カ月」とした日程に影響を与えそうだ》(毎日新聞)
そして実際に、大量の高度汚染水が漏れていることが判明した。
《東京電力は14日、福島第1原発1号機の原子炉建屋1階で、毎時2000ミリシーベルトの放射線量を計測したと明らかにした。作業員の被ばく線量の上限(250ミリシーベルト)を約8分で超える値で、事故後に計測された空間線量の中で最も高い。溶融した燃料がたまっているとみられる圧力容器底部と直結した配管から放射性物質が漏えいしている可能性もあるという。(略)
また、東電は14日、同1号機の原子炉建屋地下1階で、推計で3000立方メートル程度の汚染されたと思われる水が見つかったと発表した。1号機では冷却水が大量に行方不明になっていたが、所在が分かったのは初めて》(毎日新聞)
何とか、水漏れを防がなくてはならないが、冷却のためには水をとめるわけにはいかない。この状況で、しかも高い放射線レベルのなか、どうやって穴の補修をするのか。
事態の収束が見えなくなってきた。