やっぱり千島全島返還を

朝から尖閣ビデオの流出がニュースで報じられている。私も6つの映像をネットからダウンロードして観た。これで一気に映像が世界をかけめぐることになった。
あらためて、インターネットの威力に驚く。一昔前には、こんなことは不可能だった。
中国漁船の船員たちの落ち着き払った様子が印象的だった。カメラで巡視船を撮影する様子も写っていた。船長が酔っ払っていたらどうか分からないが、何をやっても大丈夫だという安心が、傍若無人な行為をとらせるのだろう。
テレビニュースではどこも「中国ではどんな反応でしょうか」と、ご機嫌をうかがうようなトーンが気になった。

ところで、1日、ロシアのメドベージェフ大統領が国後を訪問した。
ここまで来ると、根本的な議論のベースを変え、腰をすえて戦後処理に取り組むべきだと思う。
日本共産党はポスターに富士山をあしらうことで分かるように、民族主義がベースにあり、領土問題では最も分かりやすい主張をしている。
政府は、国後など4島が「千島ではない」から返せといってきたが、国後、択捉が千島に含まれるのは明らかで、この議論には無理がある。
共産党だけは、はっきりとロシア大統領が「千島」を訪問したと表現している。
志位委員長の談話を紹介する。

ロシア大統領の千島訪問について
志位 和夫
 一、ロシア連邦のメドベージェフ大統領は1日、ソ連時代を含め同国最高指導者としては初めて、日本の歴史的領土である千島列島の国後島を訪問した。
 今回の訪問は、日本国民にとっては、大統領のたんなる「国内視察」ではない。それは、ロシアの最高権力者が、同国に不当に併合された日本の領土である千島を、「ロシアにとってきわめて重要な地域」としてこれからも占領しつづけ、領有を固定化しようとする新たな意思表示であり、領土問題の公正な解決に反するものであって、わが党はきびしく抗議する。
 一、ロシアとの領土問題は、第2次世界大戦の終結時に、ソ連が、「領土不拡大」という戦後処理の大原則を踏みにじって、日本の歴史的領土である千島列島の獲得を企て、対日参戦の条件としてアメリカ、イギリスなどにそれを認めさせるとともに、講和条約の締結も待たずに、千島列島を自国の領土に一方的に編入したことによって起こったものである。そのさいソ連は、北海道の一部である歯舞群島色丹島までも編入したのであった。
 この戦後処理の不公正を正すところに、ロシアとの領土問題解決の根本がある。
 わが党は、この立場に立って、1969年に千島政策を発表して以来、全千島列島と歯舞群島色丹島の返還を求めてきた。
 一、日本政府の対ロシア領土交渉が、1956年の日ソ共同宣言以来、半世紀を超える努力にもかかわらず、不毛な結果に終わっているのは、この根本問題を避けてきたところに最大の根源がある。政府は、問題をサンフランシスコ講和条約の枠内で解決しようとして、「四島は千島に属さないから返せ」という主張に頼っている。しかし、この主張が国際的に通用する道理を持たないことは、サンフランシスコ会議における日本政府代表(吉田全権)とアメリカ政府代表(ダレス全権)の発言およびこの条約の批准国会における政府答弁を見ても、明らかである。
 一、わが党は、歴代の日本政府にたいして、日ロ(日ソ)領土問題の解決のためには、千島放棄条項を不動の前提とせず、第2次世界大戦の戦後処理の不公正を正すという立場に立って、対ロ(対ソ)領土交渉をおこなうことを提起してきた。
 ロシアが現状固定化をめざして新たな強硬措置に出ようとしてきた今日、日本政府が、半世紀の領土交渉の総括を踏まえ、歴史的事実と国際的道理に立った本格的な領土交渉に踏み出すことを、強く要請するものである。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-11-02/2010110201_01_1.html