尖閣諸島領有権の問題で、外務省がホームページで新たに「尖閣諸島に関するQ&A」というコーナーを8日から設けた。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/qa_1010.html
実は、このコーナーの設置は、共産党から追及されてのことだという。情けないではないか。
《同省ホームページでは、これまで「尖閣諸島の領有権についての基本見解」という簡単なコメントが掲載されているだけでした。
(コーナーの)設置の経過や目的について外務省は、「日本の尖閣諸島に対する立場をもっと内外に知らせるべきという議論があり、前原外務大臣や菅首相も言及しているので、それにのっとった取り組みの一環」としています。
同コーナーでは、尖閣諸島に対する日本政府の領有権の根拠を国際法・合意などをもとに丁寧に主張。「尖閣諸島は日清戦争後日清講和条約(下関条約)によって台湾と共に日本に割譲された台湾の付属島嶼(とうしょ)ではないのですか」という中国側の主張を意識した問いも設け、日本が尖閣諸島を編入するまでの経過や下関条約の交渉経過を解説し、中国側の主張は成り立たないとしています。
日本共産党は、日本の尖閣諸島の領有には歴史的・国際法上に明確な根拠があり、正当と主張。9月30日には、衆院予算委で笠井亮議員が「領有に明確な根拠があることを中国政府や国際社会に理を尽くして主張してきたのか」と追及し、前原誠司外相が「日本の立場を発信してきたかについては、大いに反省するところがある」と答弁していました。》
15日付赤旗http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-10-15/2010101502_01_1.html
自民党は尖閣で現政権を批判するが、これまでの政権がそもそも中国にきちんと物申す外交をしてこなかった。
日中国交正常化交渉で、福田外相は「(中国から)物言いがついては困るから、ことは荒立てないほうがいい」として尖閣の問題は交渉の場に上げなかった。
また、78年の日中平和友好条約批准の際も勝g小平副首相の「棚上げ」論に追随。園田外相は「藪をつついて蛇を出す結果になっては元も子もない」と著書で回想している。
1992年、中国が「領海および接続水域法」という国内法で、尖閣諸島を中国領にしたときにも、事務レベルで抗議しただけだった。(赤旗17日付)
相手国がいやがることを主張しないことが平和外交だというのだ。結果、後に禍根を残し、紛争の原因を作るのだから「平和」でもなんでもない。こういう発想だから、「圧力か交渉か」などという意味不明の二者択一の議論がまかり通るのだろう。
このまま何とか騒ぎが収まれば事足れりとし、日本が自らの正当な主張を控えれば、世界には、尖閣は係争地であると印象付けられるだけである。あとは機会あるごとに中国が騒ぐだけなのだから領土問題は「存在している」ことになってしまう。
今回の事件が起きて、菅内閣が「領土問題は存在しない」というフレーズだけで乗り切ろうとしたが、世界に向けても、また国内に向けても、日本領である根拠を堂々と主張すべきだった。
戦後民主主義のなかで、国防や領土に関心を持つこと自体が反動的であるかのような誤った「平和主義」に毒されて、竹島や尖閣がどこにあるか知らない国民も多い。
大東亜戦争で日本が侵略を行ったことの反省と、戦争で略奪したのではない国際法上正当な領土の主張を混同してはならない。
領土問題をあいまいにしたままでは、かえって軍事紛争のもとになることを今回の事態は如実に示した。
今からでも遅くない。政府は内外に向け、尖閣が日本領であることの正当性を訴えるべきだ。