天皇とオバマが拉致を語る

takase222009-11-15

鉢植えにアリッサムという花が咲いている。
「匂い桜」ともいうらしい。うちの娘の誕生花で、小さな白い花である。
横田早紀江さんの短歌を思い出した。
消えし子よ残せるサボテン花咲けり
 かく小さくも生きよと願う

めぐみさんが修学旅行のお土産にサボテンを買ってきた。それを大事に育てていたら、ある日小さな花が咲いていた。赤い小さな花だったという。それを見て早紀江さんは、めぐみさんもどこかで生きていてほしいと切に願ったのだろう。
きょう11月15日は、32年前、めぐみさんが拉致された日である。
深夜、珍しく晴れた空を見上げたら、頭上高くオリオン座が見えた。めぐみさんたち拉致被害者もいま同じ夜空を見上げているかもしれない。あらためて、一日も早くみんなを奪還しなくてはと思う。
この間、非常に影響力のある二人が相次いで拉致に触れた。
12日、天皇が即位20年の記者会見で以下のように話された。
《今日の世界は、決して平和な状況にあるとは言えませんが、明るい面として考えられるのは、世界がより透明化し、多くの人々が事実関係を共有することができるようになったことです。拉致の問題も、それが行われた当時は今と違って、日本人皆が拉致の行われたことを事実として認識することはありませんでした。このため、拉致が続けられ、多くの被害者が生じたことは返す返すも残念なことでした。それぞれの人の家族の苦しみは、いかばかりであったかと思います》
ついで、14日、オバマ大統領がアジア政策を明らかにしたスピーチでこう言った。
《日本の家族に対し、拉致された人たちの行方を完全に明らかにしなければ、近隣諸国との完全な正常化もない。これらは、もし自国民の生活を改善し、国際社会に参加することに関心があるならば北朝鮮政府がとることができる行動だ》(朝日新聞より)
当たり前の言葉だと感じる人もいるだろうが、私には感慨深いものだった。拉致がきわめて重大で、国際社会にとっても揺るがせにできない問題であることが、はっきりと表明されている。12年前に家族会ができたときとは大きな違いだ。もちろん、家族の心情としては、12年もかけて遅々として進んでいないと歯がゆさが先に立つと思うが・・・。
オバマ・スピーチでは、北朝鮮には、現在の抑圧体制とは別の道、民主的で繁栄し開かれた未来もありうるのだと訴えている。拉致の解決も、北朝鮮民主化という展望のなかに位置づけられている。私たちは今年4月、『ニューヨークタイムズ』紙に、オバマ大統領に拉致問題解決を訴える意見広告を出したが、その内容と大枠で一致する。http://jinken.asia/simen_newyorktimes.shtml
私の直感だが、オバマはあの広告を読んでくれたと思う。
少しづつではあるが、事態は動いている。