タレントの清水由貴子が自殺したとのニュースが流れた。あんなに無邪気で屈託のなさそうな人がなぜ、と驚く。
父親の眠る霊園で、硫化水素で自殺し、そばにいた車椅子の母親は病院に運ばれて助かったという。この状況が痛ましい。このごろ見ないと思っていたら、三年前、母親の介護のためタレント活動を辞めていたそうだ。
いい子ちゃんタレントは苦手な私だが、彼女は好きだった。年を取ってコミカルな役柄をするようになってからはますます大好きになった。彼女があの愛くるしい丸顔の笑みでテレビの画面に現れただけで、多くの人がほっとし、明るい気持ちになったはずだ。
清水由貴子は、《1976年NTV「スター誕生!」第16回決戦大会最優秀賞。ピンク・レディーが同じ大会で合格したが、獲得の意思を示したプロダクション、レコード会社の数はピンク・レディーをはるかに上回っていた》という。http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E6%B0%B4%E7%94%B1%E8%B2%B4%E5%AD%90
大スターになれなかったのは、「いい人」すぎたからだと思う。恨み、憎しみ、嫉妬、競争心などからくる翳(かげ)というものを一切感じさせなかった。お芝居でも悪役はとても無理だったろう。それでよかったのだが。
Youtubeで、彼女を偲んで『お元気ですか』を聞いた。「お元気ですか、幸せですか」ではじまる、清水由貴子のデビュー曲だ。「私はちょっと不幸で、不幸を感じて悩んでいます」という歌詞が出てきて涙ぐんでしまった。隣にいる高田みづえの幼さが年月を感じさせる。http://www.youtube.com/watch?v=31Uu8yqTaBc
人は誰しも悩み、苦しみを抱えて生きているんだなとあらためて思う。日向に咲く真っ白な花のような人だったからこそかえって「心の深淵」という表現が真に迫ってくる。