イチローと松井

takase222009-04-18

近くの農家の庭先で野菜を売っていた。「野良棒」(のらぼう)という、聞いたことのない名の青菜があった。農家の爺さんに聞くと、「この辺に昔からある野菜だよ」という。通りかかった地元の夫婦は「三多摩だけにある野菜で、おひたしや味噌汁の具にすると美味しいですよ」とのこと。名前にひかれて、ためしに買っておひたしで食べた。味は「くきたち」(菜の花)そっくりだが甘みがあって旨い。東京にも地域野菜とでもいうものがあるのだなあ。http://noguchiseed.com/yasai/norabou.html
隣の農家に鯉のぼりが翻っていた。もう端午の節句か。
イチローのようにたくましい“侍”に―。5月5日の端午の節句を前に、人形メーカーの久月(東京)が両親と祖父母に「子どもがどんな男性になってほしいか」を聞いたアンケートで、野球の米大リーグ、シアトル・マリナーズイチロー選手が1位になった。》(スポニチ
いまやイチローは英雄である。15日、日本プロ野球記録を塗り替える3086安打を達成。今朝の読売新聞は社説でイチローを取り上げ、「野球に向かう真摯な姿勢」を讃えている。きょうのテレビ番組欄を見ると、朝から夜までイチローの話題で盛り上がるようだ。
私はプロ野球に関心がない。子どものころは人並みに興味を持っていた。少年漫画雑誌の表紙を長嶋や王が飾っていたし、メンコに描かれた南海の杉浦投手の下手投げフォームが実にかっこよかったのを覚えている。今では、球団の名前を全部挙げることさえできない。
それでも、イチローはじめスポーツ選手を取材した経験のあるジャーナリストの友人がおり、アメリカ取材の際に、大リーグの日本人選手を取材しているカメラマンなどと話をする機会も多く、自然に「耳年増」になってきた。
イチローの取材者からの評判はあまりよくない。
気分屋でよくあたるので、取材者は機嫌をうかがってぴりぴりしているという。「いい大学を出て、そんな質問しかできないの」などと辛らつな皮肉も言う。カメラ映りを気にして、どの角度から撮られているかを常に計算している。見栄っ張りでウケを狙った発言をする・・・と取材する側はいう。
機嫌のよくないときの発言としては、WBCの直前こんなことがあったという。
《報道陣のひとりの「ぎりぎりの試合を韓国と何度も繰り返していくことで、同じアジアの国として一緒に(韓国)と高め合う意識はあるか」という質問を、「ないですね」と言下に否定。最後はその質問をした記者に向かって「ねぇよ。ねぇ」と吐き捨てて会見を終了してしまった。》
また、第一回WBCで韓国に対し、「向こう30年は日本に手を出せないな、という感じで勝ちたい」と言ったことや、今年の決勝戦でタイムリーを打って「神が降りてきた」などの発言には、たしかに外連(けれん)を感じる。イチローにも考えがあるのだろう。目立つ発言で自分の意識を高めているのかもしれない。
逆に、取材者にとても慕われているのが松井秀喜だという。インタビューに気さくに応じてくれる。それは、「自分たちがメシを食っていけるのはマスコミのおかげ、記者さんたちもお仕事ですから」との想いがあるという。毎年、日本人の取材者を招いて草野球大会を開き慰労しているそうだ。気配りのできる常識人なのだろう。
毎試合後テレビの取材に応じる松井の姿勢を、イチローはこう厳しく批判している。
《彼(松井)がやった(取材方法の)責任は、ものすごく重いと思うんです。結局、気持ちを鬼にできない選手が多すぎた。それによってメディアが甘んじてしまう、心地よさを求めてしまう、そこに厳しさというのはまったくないですよね。まあ、応援団みたいな存在じゃないですか》http://www3.nikkansports.com/baseball/mlb/ichiro/2004/ichiro-rensai2.html
イチローに言わせれば、松井は取材者を甘やかして非常によくない影響を与えているというのだ。
YOUTUBEに、イチローと松井がメディアへの対応を対談している映像があった。http://www.youtube.com/watch?v=WyV7viBC6jE&feature=related
イチロー「おれはとりあえず『自分』だからね」
松井「自分がやられたら嫌なことは、しないようにしてるんです」
人間としての二人をノンフィクションで描いたら面白いだろうな。