やばいぞ新聞シンポジウム

きょう、新聞労連の第51回新研(新聞研究部)中央集会シンポジウムのパネリストとして呼ばれた。シンポジウムのタイトル「やばいぞ、新聞―権力監視はどこへ」もすごいが、パネリストの顔ぶれを聞いてさらに怖気づいた。
外務省と闘う人気作家の佐藤優さん、『FRIDAY』『週刊現代』「オーマイニュース」などの編集長を歴任した元木昌彦さん、社会派ジャーナリストとして活躍中の青木理さん。新聞のことなどろくに知らない私は役不足だしお断りしようと思ったのだが、司会をする上智大学新聞学科の田島泰彦教授に依頼されたので出て行った。田島は私の大学院時代の親しい同期で断れないのだ。それに新聞労連は、去年9月に長井健司さんが殺されたとき、その2日後にいち早く抗議声明を出してくれた団体で、その恩義もある。
新聞労連の嵯峨委員長によると、新聞と権力の癒着は、経営基盤が弱くなるにつれて強まっているという。その典型が最高裁裁判員制度をアピールするために各地で開いた「裁判員制度全国フォーラム」だ。新聞社が「共催」し、特集記事とともに最高裁が広告を載せるというもの。広告収入が低迷する地方紙などにとっては垂涎のプロジェクトだそうだ。新聞社は、参加者を確保するため、金を配って動員までした。以下は発覚したケース。
最高裁によると産経新聞大阪本社は、大阪市内でのフォーラムで07年1月20日開催時に70人を、05年10月開催時に49人を、ともに一人5,000円で動員していた。さらに05年11月の和歌山市内開催では125人を一人3,000円で動員した。千葉新報社は06年1月の千葉市内のフォーラムで38人を3,000円で動員していた。》http://www.j-cast.com/2007/01/30005214.html
また、組合員との雑談の席では、地方紙が、創価学会の「政教新聞」の印刷の受注をめぐって競争が起きているという話を聞いた。新聞社役員が創価学会本部をセールスに訪ねる「信濃町詣で」という用語まであるという。
新聞が産業として危うくなっていることが、こうしたさまざまな動きのベースにあるというのが今の特徴らしい。
シンポジウムはたっぷり3時間半あって、寝不足の私にはちょっとこたえた。中身についてはいつか書くが、私の最後の発言は新聞への期待だった。
「今になって騒いでいる後期高齢者医療制度だが、2年前に国会で採決されたときにメディアは大きな声をあげなかった。マスコミは社会の木鐸と言われるのに、恥ずかしい。ただテレビは、今後の制度変更のような、映像になりにくいものを取上げるのが難しい。ぜひ新聞が、将来に警鐘を鳴らしてくれるのを期待する」。