持続可能な世界モデルを目指す町長1

takase222008-05-20

きょうは、徳島県上勝町(かみかつちょう)の町長、笠松和市さんが東京に来られたというので一献かたむけた。笠松さんは、私が心から尊敬し、日本の首相になってほしいと願っているすばらしい人物だ。
いつも焼酎を飲みながら、日本を憂い熱弁をふるう。(写真)
上勝町は、人口約2000人のうち高齢者がなんと48%という高さだが、「葉っぱビジネス」を元気にやっていることで知られるようになった町だ。私たちも2年前の6月、テレビ朝日の「素敵な宇宙船地球号」で放送した。以下はそのときの番組内容案内。http://www.tv-asahi.co.jp/earth/midokoro/2006/20060625/index.html


《四国で一番人口の少ない町、徳島県上勝町。半数近くが65歳以上という典型的な高齢者の町が、今、全国から注目を集めています。料理に添える葉っぱ 、「ツマモノ」の生産が日本全国の8割を占め、その生産者の多くが高齢者なのです。中には年収が1000万円を超えるおばあちゃんもいます。米屋を営んでいる84歳の針木さんもその一人。高い梯子にのって高枝ばさみを使いこなします。針木おばあちゃんは上勝町がツマモノを出荷し始めた当初からの生産者。最初はこんなどこにでもあるものが、なぜ売れるのか不思議だったそうです。夕方になるとコンピュータで売り上げを確認します。毎日値動きを見るのがおばあちゃんの最大の楽しみなのです。おばあちゃんたちが採ったツマモノは町の農協から出荷されます。商品は全部で330種類以上もあります。去年の総売り上げは2億5000万円。葉っぱを見事にお金に変えました。
「これは都会にはない、きれいな環境がなければできない事業。もっときれいな環境を産み出せば、もっと葉っぱが売れる」ということにみんな気づいたのです。そこで上勝町は一致団結して、環境への取り組みを始めました。日本で初めてゴミゼロ宣言をしたのです。2020年までにごみの焼却・埋立て処分をなくし町のごみをゼロにするというものです。住民たちは34種類ものごみの分別を行なっています。町の9割の家庭は町の援助で生ゴミを肥料に変えるコンポストを導入。その肥料はツマモノをとる葉っぱの畑へと自然に還っているのです。
針木ばあちゃんの家でも、料理をしても、出す生ゴミはほんの僅か。その生ゴミも肥料として畑にまきます。買い物をした時のビニール袋も捨てません。きちんと畳んで、自分のお店で使います。紙パックやトレーもきれいに洗って干しておきます。
今、上勝町は次の一歩を歩み始めました。これまで再利用、リサイクルできなかったゴミや、災害で流出した流木などの使い道を模索しています。流木や間伐材をチップにして燃料にして、経済ベースにのせたいと考えています。そうすれば森林管理や環境保全にも繋がるからです。上勝町にはいまや他の地方自治体から視察団が来るようになりました。ゴミは地方自治体の予算を食べ続ける怪物。その怪物とどう戦うのか? 上勝町はひとつのモデルケースなのです。一年間にやってくる視察の人は、およそ4千人。外国の人もいます。これまで8カ国の人たちが、上勝町のアイデアを持ち帰りました。
「製造業者が責任を持ってすべて消費者が要らなくなった場合は回収するというような製品と仕組みづくりをする、というような法律を作れば、2020年、あるいは2025年にはごみは出なくなるということ」と奇跡の町の町長さんは言います。住民が一丸となって環境保全に取り組む上勝町。この町のゴミゼロ宣言が日本全体に広がって欲しいものです。》
ここはおそらく日本一エコな町だ。まずゴミ収集車がない。住民は各々自分で「ゴミステーション」まで持っていかなくてはならない。この町は広大な山地にちらばるいくつもの小集落からなるのに、「ゴミステーション」は一箇所。お年寄りばかりで、ゴミ捨て自体が大変なのに、そのゴミを34種類にも分別していることでさらに驚く。http://www.kamikatsu.jp/zero-waste/frame.htm
ゴミのリサイクル率は80%。普通の自治体では生ゴミが半分を占めるから、このリサイクル率は絶対に不可能だ。しかもこの爺さん、婆さんばかりの町が、「未来の子どもたちにきれいな空気やおいしい水、豊かな大地を継承するため、2020年までに上勝町のごみをゼロにすることを決意し、上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)を宣言します」とゴミを出さない社会を作る決意を表明したのだ。
おどろくことはまだまだある。(つづく)