皇太子一家バッシングの真相

今回の皇室をめぐる騒動は、おととし12月に天皇が「残念なことは(愛子さまが)私どもと会う機会が少ないこと」と発言したのに対し、皇太子が去年の誕生日に「天皇陛下の愛子に対するお気持ちを大切に受け止めて、両陛下とお会いする機会をつくっていきたい」と努力するむね答えたことにはじまる。
ところが、2月13日に羽毛田(はけた)宮内庁長官が会見で、皇太子一家の「参内が増えていない」と、異例にも苦言を呈したことから騒ぎになった。
皇室に非公開の部分が多いなかでの長官の仰天発言である。嫁姑関係などの家庭内不和、雅子さまの病気の実態、皇室と宮内庁の軋轢などなど、さまざまな憶測が噴き出すのも無理はない。私も気になっていろいろ読んでみた。
結果、最も説得力がある記事は、発売中の『週刊朝日』3月7日号に載っている特集「陛下と皇太子さま、積年の『隔絶』」で、騒動に決着をつけている。
まず、《雅子さまは公務をさぼって遊んでばかり》という非難のもとになった、昨年末の三つ星レストランでの深夜までの外食については―
「雅子妃の趣味のひとつでもある動物介在療法の関係者から『招待』されたもので、招待の申し入れがあったときには、まだ三つ星にはなっていなかった」と解説。
次に、《雅子さまは実家の両親にばかり会って立場をわきまえていない》との憶測のもとになった、雅子さまの実家が元旦に東宮御所を訪れたことについては―
「訪問は雅子妃に会うためではなく職員に対する挨拶が目的で、他の関係者も来訪していた」と書き、宮内庁関係者の《まるで楽しそうにおせち料理を食べていたというイメージがあるが、実際には滞在していたのは10分程度で皆に振るまわれる料理も召し上がっていなかった》との証言を伝えている。
これが事実であれば、マスコミは針小棒大の憶測報道をしてきたことになる。この記事を書いたのは『雅子妃の明日』(文藝春秋)の著作で知られるジャーナリストの友納尚子(とものう・なおこ)氏だ。
実は友納氏は十年以上前、北朝鮮関係でも非常におもしろい記事を書いており、私は以前から注目していた。特殊な情報源を持っていることが内容のユニークさに現れていた。
皇室報道における友納氏の強みは、東宮御所の奥深くに情報提供者をつかんでいるらしいことだ。記事にさりげなくこんな文章がある。
「長官が苦言を呈した2月13日、雅子妃と愛子内親王はバレンタインデーに皇太子に渡すチョコレート作りをされていたという。湯煎でチョコレートを溶かして固め、ココアパウダーを振りかけられた」。《目撃したんですか?》と突っ込みを入れたくなるような文章だが、こういうエピソードで、皇太子誕生日に公開された家族写真の笑顔のわけが分かる。
記事は「今回の長官の苦言で、皇太子ご一家が萎縮してしまい、あの素晴らしい笑顔を曇らせることだけはあってはならない」と結ばれている。友納氏の記事は安心して読めるのがいい。