テレビも新聞も、日本はダメだというニュースばかりなので、きょうは、日本はすごいというお話。
世界最古の会社は日本にある。飛鳥時代、西暦578年創業の「金剛組」という大阪の建築会社だ。難波の四天王寺を完成させたのが仕事始めだったという。なんと、千四百年続いてきたのである。日本には長い歴史を持つ会社が多く、その数は世界で断トツだ。
この事実は、テレビでも最近紹介され知られはじめたが、その種本は野村進著『千年、働いてきました』(角川書店)だ。
野村進さんは、80年代前半フィリピン共産党の武装組織「新人民軍」に従軍したルポルタージュを書いてデビューした。私はその2〜3年後に「新人民軍」の取材を始めるのだが、そのとき参考にして持ち歩いたのが、彼の『フィリピン新人民軍従軍記』だった。それ以来、野村さんのファンである。
『千年、働いてきました』は、いま自信を失っている日本人に元気を与える本だ。サワリだけ紹介しよう。
創業千三百年の北陸の旅館、千二百年以上の京都の和菓子屋、千百年以上の仏具店、千年を超える薬局などをはじめ、創業百年以上の会社が日本には十万以上あるという。
ヨーロッパには、家業経営二百年以上の会社だけが加入を許される「エノキアン協会」という組織がある。加盟社中、最古の企業は、エトリーニ・フィレンツェ社というイタリアの金細工メーカーで、1369年、日本の南北朝時代の設立だ。
日本にはこれより古い企業が、百社近くもある。比較にならないのである。そして、日本の老舗企業は、すごいことをやっていた。
(続く)