フィリピン今昔紀行―幸せですか 

おととい、ミンダナオ島ジェネラルサントス市に一泊して、きのうマニラに戻ってきた。
ジェネラルサントスでは、現地で知り合った人から「フィエスタ」に招待された。フィエスタとは、バランガイ(最小の自治単位=集落)の守護聖人のお祭りだ。
まずは、招待されたバランガイ幹部のお金持ちの家に行き、ごちそうを食べた。フィエスタにかかせないのは、レチョンという豚の丸焼き。1メートルほどの豚が姿焼きにされて供されていた。
近くのバスケットボールコートにステージが設けられ、さまざまな催し物が行われている。着飾った老夫婦がたくさんステージに上がっている。「ベストお爺さんお婆さん」コンテストで、二人のコミカルな司会が会場を沸かせている。知り合いが出ると、その家族や近所の人たちから声援がとぶ。その他、中年女性グループのジャズダンスあり、スパニッシュダンスありと盛りだくさんで笑いが絶えない。さすがに「アジアのラテン民族」である。

フィリピン人は、生活を楽しむのがとても上手だと思う。
今夜は、あす帰国ということで、取材に協力してくれた人が自宅に呼んでくれた。一緒に夕食を楽しみ、奥さんと小学生の娘さんたちから私たち3人はプレゼントをいただいた。何かしらうれしいこと、喜ばしいことを見つけて、一緒に分かち合おうとするのがフィリピン人である。
香港の調査会社がアジア九ヵ国の国民に、「あなたは幸せですか」と尋ねたところ、「はい」と答えた割合の最高がフィリピンで、94%にのぼり、最低は日本で64%。別の調査で「おカネについて心配していますか」という問いにも、「大変心配」が日本人の70%に対して、フィリピン人は34%だったという。
フィリピンが日本に比べて、経済的達成、平均寿命、医療サービス、進学率など生活にかかわるほとんどの客観的指標で劣っていることは言うまでもない。

幸福度調査というのはいろんな機関が違った基準で行っているのだが、少なくとも、フィリピン人の「主観的」幸福度が非常に高いことは間違いない。これは私の3年近いフィリピン滞在の実感とも合致する。
そして、おそらく、スモーキーマウンテンでこの調査をやっても高い幸福度が出るはずだ。私は12日の日記に、「こんなところに人間が住んではいけない」と書いたが、もしそこに住む人自身が「幸せ」と感じているなら、これをどう考えればいいのか。
幸福度が高いことは、そもそも良いことなのか。根本的な疑問を抱いてしまう。
もう早々と「プレ・クリスマスセール」がはじまっている。「バー」がついたらクリスマス。つまりセプテンバー(9月)からディセンバー(12月)まで月のおわりにberがつく期間はクリスマスだとフィリピンでは言う。これからフィリピンは、年で一番幸せな季節に突入していく。