幸せの指標6−GAH

「幸せ」が政治のテーマになっているが、自治体でも取り組みがはじまった。
東京都荒川区では、正面から「幸せ」を区政の目標に掲げ、GAHなる指標を模索中だ。ブータンにならったのだろう、GAHとは「グロス・アラカワ・ハッピネス」。
区は去年10月、シンクタンク荒川区自治総合研究所」を設立。研究所はGAHを専門に研究し、区に政策提言するという。
《これまで、世界の国々では、国の経済状況を表す指標である国内総生産(GDP)の増加を目指し、経済力を競い合ってきました。日本も同様に、戦後、歴史上稀に見る高度成長を遂げ、ついにはGDP世界第2位にまで昇りつめました。
 しかし、GDPが上がっても、日本人の幸福度は上がっていないという研究結果もあります。最近では不況や格差社会の中で、不安感や閉塞感を感じたりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 荒川区では、「区政は区民を幸せにするシステムである」というドメイン(区が活動する事業領域)を掲げています。荒川区は、物質的な豊かさや経済効率だけでなく、心の豊かさや人のつながりを大切にした、区民の皆さまが安心して生活できるあたたかい地域社会「幸福実感都市あらかわ」を、皆さまと一緒に築いていきたいと考えております。
 つまり、区民の皆さまの幸福度をいかに高められるかという視点でサービスを検討し、提供していくことが非常に重要であると考えています。そのためには、まず、区民の皆さまが幸せを実感するために区として何をするべきかを把握することが大切です。
 このことを把握するために、当研究所では、区民の皆さまの「幸福度」を数値化し、区政の指標とするための調査研究に取り組んでいます。この幸福度の指標のことを「荒川区
民総幸福度(グロス・アラカワ・ハッピネス:G A H)」と呼んでいます。
 しかし、幸福度の指標を作るのはそう簡単ではありません。例えば、公園が増えたことが区民の皆さまの幸福実感にどれだけ寄与したかを測定することは非常に難しいことです。
 もちろん、「幸せ」は人それぞれです。しかしながら、広く区民の皆さまが幸せを実感できるようなサービスを提供していくために、試行錯誤を繰り返しながら幸福度の指標をつくっていきたいと考えています。指標をつくり、それにもとづいてより良いサービスを検討・実施していくために、ぜひ、区民の皆さまと一緒に、この荒川区民総幸福度について考えていければと思います》http://www.rilac.or.jp/
荒川区自治総合研究所は先月27日、『あたたかい地域社会を築くための指標−荒川区民総幸福度(グロス・アラカワ・ハッピネス:GAH)−』(八千代出版)を出版したという。
まだ読んでいないが、興味をそそられる。http://www.city.arakawa.tokyo.jp/kusei/koho/hodohappyo/gah.html
幸福度指数には、国連開発計画の「人間開発指数」(HDI)のように、平均寿命、識字率、就学率、男女平等の指標など客観的条件に重きを置くものもある。これだと、ブータンは182か国中132位だった。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20100507
GAHは、おそらく、主観的な満足度を重視するものになるのではないかと推測する。
幸福感、生活の満足度においては、「対人関係」や家族や周囲との「快いつながり感」が非常に重要なものであるらしい。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20100523
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20100609
とすると、鳩山前首相が「新しい公共」というスローガンを掲げたのは、時宜にかなったことだった。
(つづく)