幸せの指標2

もともとGNPとかGDPというのも、幸福度を数値化するために案出されてきた指標らしい。
実際には経済成長は各国でさまざまな悪しき副産物を生み出し、「ゆたかさ」が「しあわせ」に直結しないことは明白になった。実際、調査すると、飢餓レベルなどの極端な貧困状態の国をのぞくと、所得の大きさは必ずしも生活満足度と比例しないようだ。この辺は、経済学でも流行の研究テーマになっている。
国民所得などの指標に替わるものとして、「人間開発指数」(HDI)や「地球幸福度指数」(HPI)などが登場したことを、5月7日のブログに書いた。何かを数値化すれば、順位がつけられランキングができる。そこにまた国家間の競争が出てくる。
もっとも、HDIにしてもHPIにしても、平均寿命や識字率など客観的な指標の組み合わせであり、「福祉度」や「社会の持続可能度」と表現したほうがよい。主観的な満足度とはまた別物だ。
4月末、日本で、とても幸せを十点、とても不幸を〇点とし、「どの程度幸せか」を尋ねた結果がニュースになった。
《日本人が自分を幸福だと思う度合いは、10段階評価で平均6.5。内閣府が27日発表した国民生活選好度調査でこんな結果が出た。欧州連合(EU)が2008年に行った同様の調査との比較では、最高だったデンマーク(8.4)には遠く及ばず、英国(7.4)、ドイツ(7.2)、フランス(7.1)の主要各国にも劣る結果となった。(略)
 幸福に影響する要素としては、健康(69.7%)、家族(66.4%)、所得(65.4%)の三つの回答が多く、幸福感を高めるため政府に求める政策としては、「公平で安心できる年金制度」(69.2%)や「安心して子育てできる社会」(64.9%)を上げる人の割合が高かった》(2010/04/27時事)
国民の幸せを政策目標にするのはいいと思う。問題は、どの要素を軸にするかではないだろうか。
それを考えるのに面白かったのは、雑誌「科学」3月号で、「幸福の感じ方・測り方」を特集していた。
(つづく)