ウクライナ取材の現場から10

 10月23日夜、ウクライナ南部のザポリージャのホテルに一泊。翌24日の朝さっそくミサイルが落ちた場所を見に行く。

 ホテルの窓がほとんど壊れているのでもっと近いかと思ったら、現場は200mほども離れている。ガラスが割れるのは爆発物の破片ではなく爆発の衝撃波による。ガラスが割れるほどの衝撃波なら人間はふっとばされるだろう。衝撃波がいかに遠くまで届くかを考えると怖くなる。

泊ったホテル。1階から4階まで窓ガラスが壊れてベニヤ板になっている。

ホテルの近くにある町一番の劇場の窓もベニヤ板に。

 ミサイルが着弾した建物は路面電車が通る目抜き通りに面した民間のビルで、周辺に軍事施設は見当たらない。交通量もいつもどおりで、ミサイル着弾の話を知らなければ、ごく普通の平和な街にしかみえない。たんたんと日常を生きる人々にたくましさを感じる。

ロシアのミサイルによる破壊跡。夜に着弾して5人が亡くなったという。

ミサイルが命中したのは、1階に銀行その他の店舗が入り、2階以上がアパートになっている建物。

衝撃波で壊れた窓やドアにベニヤ板をはって応急処置している。

 被災したビルの向かいに立派な教会があり、その前の歩道に物乞いする高齢者が4人いた。周辺で写真を撮っていると、若い男性から厳しい声で誰何(すいか)された。日本から取材にきたというと、相好を崩して自分はボランティアで前線に物資を届けているとスマホをみせてくれた。

道を挟んで向かいが教会で、ガラス窓の修理が始まっていた。(写真左)壁には爆発で飛んだ破片による穴や傷があった。

バスを待つ人々。右手が破壊された建物で左に教会が見える。街は平常に動いている。

すぐそばの公園で憩う人々。いつミサイルが飛んでくるかわからない町とは思えない。向こうに教会と破壊された建物。

義足の男性が物乞いをしていた。そのまま通り過ぎることができず、少しだがお金をあげる。

ホテル3階の窓から。すぐ下を路面電車が通る。穏やかな秋景色。


 ホテルに戻っていま午前11時27分、大きな爆発音が聞こえた。すると1分後に空襲警報がなる。警報より先に着弾している。これは怖い。

 11時42分、追伸。テレグラム情報ではイスカンダルミサイルが着弾したとのこと。このミサイルは破壊力がすさまじいので被害の程度が心配だ。

 11時45分追伸。ニュースではミサイルは2発とのこと。

 12時20分追伸。ロシアの偵察ドローンORLANがザポリージャ上空を飛行中との情報。さらなる攻撃の可能性。

 13時15分。もう大丈夫そうだ。街は何事もないように動いていた。

 

つづく