ヨーロッパで黒く沈んでいるのはウクライナだ。
ロシアがインフラ特に発電所や送電網など電力インフラを狙って攻撃する結果、ここ2カ月近く、ウクライナでは大規模な停電が続いている。手術中、停電になって自家発電で危うく助かったなどのエピソードがニュースで流れるたび、かの国の人びとの苦しみに同情する。
電気だけでなく水や暖房もなく、ガスがなくて調理もままならない家が増えているそうだ。インフラを集中的に攻撃すること自体、戦争犯罪だとの指摘があるが同感。
市民生活が極度にひっ迫するなか、ウクライナでは政府に対して不満が寄せられてもよさそうなものだが、逆にロシアと徹底的に戦おうと国民の士気はいっそう高まっているようだ。
最新の調査で、ウクライナはロシアが占拠した領土を取り戻すまで戦うべきだとする意見が85%に上り、これまでで最も高くなったという。
戦争自体は悲惨な現象で早く終わってほしいが、ウクライナ国民の抵抗の精神にはいつも感銘を受ける。さらに応援します。
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アフガニスタン・リポートつづき
11月29日
おかげさまで、無事に帰国しました。
アフガニスタンのたくさんの人々にお世話になった。
政権が「邪悪」でも一人ひとりは「いいやつ」で、好きになった。
もっともこれはツーリストとしての好感で、もっと深く彼の国に関われば、汚い面も見えてくるのだろう。
私はこれまで自社のスタッフをアフガニスタンに派遣して番組を制作したり、フリーランスをプロデュースしたりしてきたが、自分自身は今回が初めてのアフガニスタンである。
とても有意義な取材ができたことを同行のジャーナリスト、遠藤正雄さんに感謝している。
取材にずっと付き合ってくれた通訳と運転手にも感謝。
アフガニスタンでは待ち時間が長く、その間、彼らと雑談したが、これがとてもおもしろかった。
ある時、通訳が「私のいとこに著名人がいる」という。ハトル・モハマドザイ准将。この国初の女性パラシュート兵にして女性で初めて将軍に抜擢された軍人だ。
米国や西側メディアは、女性活躍の代表として彼女の存在をアピールしたという。
米国は、オサマビンラディンを匿っていることを理由にアフガニスタンに侵略したのだが、そのうち、戦争目的を「人権」と「民主主義」のためだと言い出し正当化をはかった。それにぴったりの活躍する自由な女性としてもてはやされたのだという。
2001年に米軍によってタリバンが排除され、その後の20年で女性の社会的進出が促進され、多くの女性に恩恵がもたらされたのは確かだけれど、歴史の文脈をしっかり把握しておくことも大事だと思う。
このハトル准将、去年のタリバンの権力掌握でいったんは外国に逃げたが、馴染めず、今はカブールに戻って、ソ連時代に作られた古いアパートにひとり寂しく暮らしているという。
いまもタリバンは彼女を処罰していない。やはり96年以降の第一次タリバン政権のころとは違っているようだ。
カブールからドバイへと乗った飛行機は民間会社の「カムエアQam Air」で(この他に国営のカリタスエアがある)、女性の客室乗務員、CAがいた。
女性の勤労に否定的なタリバン政権でもいわゆるスチュワーデスがいるんだ、と意外だった。
遠藤さんによれば、第一次タリバン政権では、女性乗務員は無し。次のカルザイ政権になると、女性乗務員の中にはスカーフも被らない者もいたという。
今は黒いヒジャブ(スカーフ)とマスクをつけてサービスしていた。
足して2で割った感じだが、最後のフライトが、今のアフガニスタンを象徴しているようにも感じた。
これからは取材のまとめをなるべくいろいろなメディアで紹介していきたいと思います。皆さんよろしく。