ロシア大使館に「ニェット・バイニェ!」と叫ぶ

 きょうはロシア大使館ウクライナ侵略への抗議に行ってきた。

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手描きのプラカードをもって、ウクライナカラーを着て行った(3日11時)

 マジックで画用紙にNO WARと手描きしたプラカードを持って、大使館に向かい、"НЕТ ВОЙНЕ"「ニェット・バイニェ」(戦争やめろ)と叫んだ。

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ニェット・バイニェ!戦争やめろ!

 ちなみに今日は東京大空襲があった日だ。いまウクライナではロシア軍の砲爆撃で多くの市民が傷つき死んでいっている。

 このデモについて思うところは次回書こう。
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 テレビでウクライナに入ったフリーランスのリポートが出るようになった。

 日テレでは佐藤和孝氏が現地リポート。テレ朝の報道ステーションでは元NHKのフリーフォトグラファー、児玉浩宜氏がルーマニア国境に近いチェルニフツィから報告していた。

 日本のメディア企業の記者の空白をフリーが埋める形で、かつてのアフガン戦争、イラク戦争のときを想起させる。あの時はじめて、テレビ局員でないたくさんの「ジャーナリスト」なる人々が立ちレポしたのだった。

 日本以外の国は、メディア企業の記者がウクライナ国内からリポート。悲壮感を漂わせることなく、淡々とプロらしく報じている。

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このフランスメディアのリポーターは首都キエフから映像を送っている

 東部の町マリウポリでは、両軍が停戦する間に市民が脱出・避難するための「人道回廊」が設置されたはずだが、ロシア軍の攻撃が止まず、産科・小児科の病院がロシア軍に爆撃され子どもを含む3人が死亡、17人が負傷した。

 WHO=世界保健機関によれば、ウクライナ全土で19の保健関係の施設(病院を含む)が攻撃を受けたという。

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ロシア軍が包囲するマリウポリでは町が酷く破壊され、病院(産科・小児科)が攻撃を受けて患者が避難した

 これはロシアの常套手段で、シリアでも病院やクリニックをアサド=ロシア軍は狙った。負傷兵を治療する施設をつぶすためと、生活インフラを壊して焦土化し住民をそこから追い払うことが目的だった。また、シリアではアサド=ロシア軍が、空から住宅地を無差別爆撃し、大量の犠牲者を生んだ。

 トルコのアンタルヤでロシア、ウクライナ両国の外相会談が終わった後、ロシアのラブロフ外相が、マリウポリの病院を破壊したことについて問われた。すると彼は、「あの病院はすでに過激派に支配されていたし、新生児も看護師もすべて追い出されていた」と答えて記者たちを唖然とさせた。

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ロシア・ラブロフ外相。こんな嘘を平気でつけるとは・・

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病院に医療スタッフも患者もいたことは明白だ(SM)

 ラブロフ外相の言う、市民は避難したはずなので、都市に残っているのは「敵」だけだから手加減せずに殺戮してよいとする理屈は、シリアでのロシアの戦闘と同じだ。こうなると、ウクライナでの今後のロシア軍の攻撃は、相当な数の市民の犠牲が出るのではと心配になる。

 さらに、今後ロシアが占領した地域では、市民が犠牲になる映像や情報が出てこなくなって、ロシアの嘘だけが流されることになるのだろう。

 

 今回の戦争でテレビに引っ張りだこの解説者の一人が小泉悠東大専任講師だ。

 6日のTBS「サンデーモーニング」でもスタジオに招かれていたが、ロシアによる病院の破壊など市民への攻撃を解説するさい、「反省」の言葉を口にした。

 今回のことで、自分の中に差別みたいなものがあることに気づいた。

 シリアでもチェチェンでもやってきたんですよね。でも、ヨーロッパの町で同じことが起こると、よりショックを受けている自分がいる。

 ずっとロシア軍がやってきたことを、私は知っていたんだけれども、中東やチェチェンで起こることは、何となく「まあ、そんなもの」と思ってしまうところがあったんですよね。

 いま国際社会が強いショックを受けているというのも、やはりヨーロッパで白人がこういう目にあっているから、より同情が集まりやすい面というのは、見過ごしちゃいけないと思いますし、ポーランドにものすごくたくさん難民がのがれてますけど、ポーランドも中東からの難民はいっさい受けつけなかったんですよね。でも、民族的に非常に近いウクライナ人が来ると、これだけ受け入れてくれる。そこもなんかモヤモヤする構造があるという気がしますね。

 自分にも向けられた指摘で、はっと考えさせられるコメントだった。