きのうの朝刊一面。あっちもこっちも大変な事態が起きている。
新型コロナ感染拡大が止まらず、重傷者がキャパを超えはじめ、治療が必要な人が入院できなくなる地域が急増している。自宅療養を余儀なくされれば、家庭内感染が広がるのは必至。
「災害級」とされるこの状況でも、政府はパラリンピックに突っ込むつもりだ。しかも学校観戦をやらせる方向で進めているという。
《政府と大会組織委員会が小中高生に客席を割り当てる「学校連携観戦プログラム」の実施を各市区町村の判断で可能とする方針を固め》た。また《東京都教育委員会などと協議した結果、組織委が各学校と競技会場の間でバス送迎を行うなど感染防止が徹底できる環境をつくることで可能と判断。各学校で状況が異なるため、実際に実施するかどうかは市区町村の教育委員会など各学校の管理者が最終判断する。》(産経13日)
この危機的な事態に、菅首相は「人流の抑制に取り組んでいきたい」と「ワクチン接種を進めていきたい」というのみ。いつものとおり、具体的な方策は出さない。
記者団に政府対策の総括を問われると、「世界ではロックダウンし、外出禁止に罰金をかけても、なかなか守ることができなかったじゃないですか!」と逆ギレ(13日)。非を認めないその態度が、ますます支持率を下げているんだよ!
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九州や中国地方など広い範囲を記録的豪雨が襲い、すでに犠牲者も出ている。
被災したみなさんにお見舞いを申し上げます。また、これ以上、被害が大きくならぬよう祈ります。
「記録的な」災害がますます増えてきているのが不気味で心配だ。
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国際ニュースでは、アフガニスタン情勢が深刻だ。
政府軍が総崩れになって、反政府勢力タリバンが次々に州都を陥落させている。
https://www.longwarjournal.org/mapping-taliban-control-in-afghanistan
最新ニュースでは首都カブールがタリバンに制圧されそうだという―
《アフガニスタンの反政府勢力タリバーンは、14日夜に同国で人口第4の都市である北部バルフ州の州都マザリシャリフ、15日朝に人口6位の都市である東部ナンガルハル州の州都ジャララバードを、新たに制圧したと宣言した。首都以外の全ての主要都市が陥落したことになる。
駐留米軍が8月末を期限に撤退を進めるなか、米軍の後ろ盾を失った政府軍の敗色が強まっている。今後は首都制圧を狙うタリバーンの攻勢が強まりそうだ。》(15日朝日)
タリバンは多くの州都で大きな戦闘なしに無血入城している。政府軍や州政府の知事らが戦闘を避けるため水面下でタリバンと取引するからだ。タリバンは拘束されていた「同志」を解放し、大量の武器弾薬と資金を獲得、勢力を急拡大して勢いが増している。戦闘機まで入手したと報じられている。
もともとアメリカが始めた戦争なのだから責任があるはずだが、バイデン大統領は、アフガニスタン政府は自分で戦え、米軍は予定通り8月末までに撤退すると、はっきり政府を見放した。
このままでは首都カブールも陥落して、アフガン政府は崩壊する可能性が高い。タリバンが政権を担うことを前提とした対応をせざるを得なくなるだろう。
シリアのような泥沼の内戦を避け、同時にタリバンが反対者への報復や人権の抑圧をしないようにしなければならない。
今後を見越して中国、ロシアも独自にタリバンと関係を強めている。国際社会は大国や周辺国がそれぞれの利害で介入するのではなく、対タリバン交渉(政府との仲介も含めた)を国連だけに絞るなど、アフガン情勢を制御する枠組みを作って犠牲を最小にするよう努力してほしい。
アフガン政府に莫大な援助をつぎ込んできた日本にとっても重大事態だ。
実は9年前、京都でアフガン政府要人とタリバン幹部が同席して話し合う機会が設けられたことがあり、私はこれを取材していた。
日本はアフガニスタンに独特なパイプをもっており、民間の力も借りながら、和平の仲介で役割を果たすことが可能だったのだが、いろんな事情で成果を出すことができなかった。
いまはまさに正念場で、日本の外交力が試される。