香港はなぜ闘うのか2

 長月、節気は白露(はくろ)。昼夜の気温差が大きくなって朝夕に降りる露のことを白露という。そろそろ残暑も終わりのはずが、台風のあとのきのう東京は35℃を超え、9月としては6年ぶりの猛暑日。きょうもまた猛暑日だった。
 8日から初候「草露白」(くさのつゆ、しろし)。次候「鶺鴒鳴」(せきれい、なく)が13日から。18日からが末候「玄鳥去」(つばめ、さる)。卯月(4月)のはじめ「玄鳥至」(つばめ、きたる)から半年、ツバメが温かい南の土地に帰っていく。
 子どものころ、かやぶきの実家の軒先に、何組ものつがいが巣を作り、ヒナが大きな口をあけてチイチイ鳴いていた。最近ツバメをあまり見ないなと思っていたら、はやり激減しているらしい。(「ツバメが消えた、50年で4分の1 1万人の小6が調査」https://www.asahi.com/articles/ASM5F7J3PM5FPJLB00K.html
 田畑の減少などの自然環境と、巣作りに適した日本家屋が少なくなったなどの変化のせいだというが、それだけなのか。気になってもっと知りたくなる。
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 8日(日)は超強力台風の関東直撃で、フジTV「Mr.サンデー」は台風特集を予定していた。夕方、香港特集を編集しているところに「台風被害が大きくなると、香港特集は放送が来週に延びる可能性がある」との連絡がくる。結局放送されたのだが、画面左と下に台風情報のテロップが出っ放しだった。

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台風情報のテロップで覆われた画面。でも災害情報の方が大事ですから・・


 台風情報もあって、Mr.サンデーの視聴率は非常に高く、ここ1週間のフジテレビの全番組のなかで最高だったという。香港特集のピークは13%を超えた。たくさんの人に観てもらえて、よかった。

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                      (報道ステーションより)

 

 私が帰国する間際の4日、林鄭月娥(りんていげつが)行政長官が「逃亡犯条例改正案」の正式撤回を発表した。いわゆる民主派側の大きな勝利であり、これで沈静化するかと思いきや、反政府抗議活動は今も続いている。これから本格的な混迷の時期を迎える予感がする。というのは現在の「運動」は、もともとの「逃亡犯条例改正案」反対からその要求を大きく変化させ、普通選挙など実現のきわめて困難な「5大要求」を掲げるにいたっているからだ。敗北に向かって運動が突っ走っているのではとさえ思えてくる。

 《撤回表明後、初の週末となった7、8の両日もこれまでと変わらずデモが行われた。ただ、デモ隊の行動や訴えはいずれも「本筋」からは外れていた。
 7日のデモでは、8月31日の大規模デモの際、地下鉄駅構内で警察の取り締まりによって3人が死亡したというインターネット上で拡散したうわさをもとに、地下鉄駅が攻撃対象になった。警察や病院は「死亡者はいない」と再三否定しているが、デモ隊側の疑念は晴れない。
 8日は、米国での香港関連法の早期成立を訴えるため、米総領事館を目指して行進。「香港の自由のため戦おう」と英語で叫び、星条旗を振って香港政府や中国政府への圧力を求めた。
 デモ隊の一部の行動は激しさを増しているが、怒りの矛先は鉄道会社や防犯カメラなどに広がり、かえって運動の争点が見えにくくなっている。
 デモ隊が掲げてきた改正案撤回以外の要求実現の見通しはなお厳しい。現在、市民が最も強く求めているのは、警察の実力行使の是非を問う独立調査委員会の設置で、それに続いて普通選挙実施への要求も強い。
 しかし、調査委に関して政府は、既存の調査機関があることを理由に拒否し続けている。普通選挙に関しては、従来型のデモの繰り返しで実現する可能性はほぼない。
 デモ隊側が明確な指針を定められずにいる一方、政府側も取り締まりを強化することしかできず、混乱収束の道筋は描けていない。香港政府の背後に控える中国本土について、ロイター通信は2日、「中国側は解決の期限を設けていない」と語る林鄭長官の音声記録を報じた。抗議活動、香港政府、習近平政権がにらみ合う「持久戦」がしばらく続きそうだ。》(香港時事)https://www.jiji.com/jc/article?k=2019090900940&g=int

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旺角(モンコック)警察署前で集会規制に出てきた警官隊(9月3日未明)

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警察の暴力への抗議が高まっている。高校生や勤め帰りのOLなどごく普通の人が顔をマスクで隠しながら抗議に加わる。

 香港情勢を理解するために、今回の運動の端緒から見ていこう。
(つづく)