台風19号の被害が次第に明らかになり、きょう午後6時段階で、死者は12都県で75人、行方不明者は16人に上っている。死者の半数以上は福島県と宮城県に集中し、東北地方で甚大な被害が出ているという。農業への被害も大きく心配だ。
犠牲になった方々のご冥福をお祈りするとともに、被害にあった方々にお見舞い申し上げます。
一方で、行政の非人道的な対応には憤りを覚える。
日野市の多摩川河川敷で、14日午後にホームレスとみられる男性の遺体が見つかったとの報。https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019101501001800.html
東京・荒川区では避難所がホームレスを拒否したことが明らかになった。社会に蔓延する差別が命そのものに持ち込まれるとは・・
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今回、香港で取材して、抗議運動が転機を迎えているように思われた。
「逃亡犯条例」改正をめぐって6月に始まった抗議行動は、条例改正を香港政府が撤回したあと、その抗議の対象は警察の暴力になっている。
警察のデモ規制が非常に乱暴であることは私も何度か目撃した。当局は6月以降の抗議活動に絡んで2千人以上を逮捕、200人以上を暴動罪で起訴している。デモを「暴動」と認定した政府見解の撤回は、デモ参加者にとっては絶対に譲れないところだ。
一方、香港政府はあくまでもデモは暴動であるとして徹底的に抑え込む姿勢を明らかにしている。警察当局は9月30日付で内規を改定、拳銃や催涙弾を含む武器使用のハードルを下げた。そしてこの日、ついに警察がデモ参加者に向けて実弾を発射し18歳の高校生に重傷を負わせたのである。
これに対抗するかのように、「勇武派」の暴力行使にも変化が起きている。これまでは彼らの暴力の対象は「人」ではなく「モノ」に限られていた。空港占拠でも施設は破壊されたが空港職員に暴力が向けられることはなかった。
警官隊と対峙したさいに「勇武派」が投げる火炎瓶は、警官隊のはるか手前の道路上で炎を上げるだけだった。火炎瓶は示威であり、警官隊が前進してくるのを妨害する手段として使用されてきた。
それに変化を感じたのは、「覆面禁止法」の10月5日からの施行を発表した4日だった。各地でデモ隊と警官隊が激しく衝突し、元朗という地区で、一人の私服警官がデモ隊に囲まれ袋叩きにあった。その警官は拳銃を発射し、14歳の少年が太腿に重傷を負った。実弾による2人目の負傷者が出たのである。デモ隊はこの警官に向けて火炎瓶を投げ、警官の服が燃え上がった。火は消されて大事に至らなかったが、この映像がネットで流れ、市民に衝撃を与えた。
暴力の応酬は人命にかかわるレベルに達していると私には思えた。
今後、銃器や爆弾など殺傷力のある武器がデモ隊側から使用されるという事態が出てきたらどうなるのか。謀略もからんできて大変なことになっていくだろう。考えたくないが、暴力の応酬がエスカレートしていって極端へと走るのはこれまで他の国でも見られたことだ。
知り合いの香港人が真剣な表情でこう言った。
「警官隊とデモ隊、どちらに最初の死者が出るか、固唾を飲んで見ています。それによって局面が一気に変わるでしょう。どちらにしても、今以上の混乱になるのは間違いありません。とても怖いです」。
香港情勢はいま大きな転機を迎えつつある。