節気は「小満」。陽気盛んにして万物ようやく長じて満つ。あらゆる命が満ちていく。農作業も忙しくなる。
21日から初候「蚕起食桑」(かいこおきて、くわをはむ)。26日から次候「紅花栄」(べにはな、さく)。末候「麦秋至」(むぎのとき、いたる)が6月1日から。
日曜、30度を超す暑さのなか、近くの公園のマルシェに行く。木漏れ日に40人のクラフト作家のブースが並んだ。余暇の時間で作品をつくるアーティストが多いことに驚く。涼しそうなアロハシャツを衝動買いしてしまった。
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トランプ大統領が来日している。尻尾をちぎれるほど振っての歓迎ぶりは、こっちが恥ずかしくなるほどだ。世界にはどう見えるのか。
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(相澤冬樹さんの講演から、続き)
去年の4月のこと。
その前の3月2日に「朝日新聞」が公文書の改ざんの特ダネを出した。森友事件で国有地の売買取引の決済文書を書き変えていた。安倍昭恵さんなどの名前も消していた。大問題になって、また森友が国会で火を噴いた。NHKでも心ある記者が取り上げようとなって、放送は4月4日にやることに決まった。
改ざんは大問題だし、それをきっかけに番組をやるのはいい。ただ、朝日新聞の特ダネに乗っかって番組にするのは恥ずかしい、何とか自分たちで上乗せできる情報を付け加えて放送したいと思った。それで取材したら、財務省が森友学園に口裏合わせを求めていたことが分かった。
改ざんをしているのとちょうど同じ時期。財務省の担当者が、森友学園に電話して、トラック何千台分のゴミを運び出したことにしてほしいと言った。当時、国会で野党から追及されている。8億円値引きしたということはトラック4千台分くらいのゴミを運び出さないとならないぞ、ほんとにそんなに運び出したと確認したのかと追及されて、当時の佐川理財局長が確認していませんと答えている。
確認できるわけがない、運び出していないのだから。それではまずいと思って、佐川さんの部下が森友にウソついてくれと電話してきた。森友側は、「そんなことしていないからできません」と。財務省がウソをつかせようとして、森友の方がまっとうに答えている。「ウソをつけません」と。これはいかに財務省がまずいことをしたと認識して、ごまかそうとしていたかを示している。
この口裏合わせの事実は、改ざんと全く同じで、その同じ流れの中にあるから価値がある。「クローズアップ現代」の放送日が4月4日。当日はその前の「ニュース7」で出して、その後「クロ現」で放送しようとなった。
ところが、その日になって報道局長が「これは出させない」と言いだした。
出させない理由は、その日、野党の某議員が永田町で、きょうNHKが森友で特ダネ出すから見るようにと言っていたらしい。野党に情報が漏れているという。でも情報がもれたとしても、その情報が間違っているわけではないし、少なくとも私はその議員は見たことも会ったこともない人で知らない。これを理由に出させないというのは、あまりにも不当だと、私だけでなく一緒に仕事をしていたデスクや上司が報道局長と掛け合った結果、何とか出せるということになった。だが、放送は「ニュース7」の一番最後の項目だという。
ニュースはだいたい重要な順に並べる。だから大事な特ダネは最初にもってくる。それが一番最後だという。その日はたまたま4月にしてはすごく暑い日だった。暑さもニュースになっていた。その暑さよりも下、一番目立たないところで放送した。
もっとひどかったのは、その後の「クローズアップ現代」で、そこで放送するために準備してきたのに放送させないという。その理由は、野党議員が「ニュース7」と「クロ現」で放送すると言ってたから、そのとおりにはできないからだという。屁理屈だが、結局、それが理由で肝心の「クロ現」では放送されなくなってしまった。あまりにも悔しかったので、番組編集室に乗り込んで、どうして放送させないんですかと言った。私の本のオビにある「なぜ放送されないんだ!」はこの時の言葉だ。
そのような形で、目立たなく放送されたが、そのあとネットを見たら、書き込みで「これまでのNHKのことを許したる」とあった。これはつまり、日頃のNHKの報道に不満を持っている人が、政権に都合の悪いニュースをやると「許してやる」と言ってくれたということで、反対側にいた人をこっち側に近づけたわけだ。視聴者に伝わったことで自分もとてもうれしかったし、受信料でなりたっているNHKにとっては、こういうことの積み重ねが視聴者の信頼につながるのだから、このニュースは組織に貢献しているのではないか。
特ダネに価値があることは誰も否定できないので表彰されることになった。報道部門で一番トップの賞は報道局長賞。このニュースを出させまいとした人の名前で賞が出たという皮肉なことが起きて、さらにその報道局長賞が出たほぼ同じ時期に、記者を辞めさせると言われた。そういう流れで物事が進行して、結局、自分からNHKを辞め、今に至っている。
(つづく)