「人権派ジャーナリスト」の性暴力

 ドタバタのうちに年の瀬になった。
 実はこの12月でジン・ネット創立20年になる。ほんとはパアッとお祝いでもしたいところだが、今年は会社はじまって以来、最低の売り上げで青息吐息。ほんとうに苦しい年だった。いくつものトラブルがあった。来年は経営的にも良い年にしたいものだ。

 26日はジン・ネットの忘年会。夜8時、元軍事ジャーナリスト、カトケンこと加藤健二郎さんによるバグパイプ演奏がはじまる。この大音響で悪運をはらい、一年を締めくくるのが恒例になっている。加藤さんに初めて来てもらったのが2009年だったから、もう10年になる。
 カトケンの演奏は、ロックフェスティバルの「サマーソニック」で演奏した以下の動画でご覧ください。「日本のバグパイプ演奏の第一人者」と紹介されている。
https://www.youtube.com/watch?v=DV7LiGDXSGw
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 26日発売の『週刊文春』が、「世界的人権派ジャーナリストの性暴力を告発する」と題する記事を掲載。「チェルノブイリ原発事故、薬害エイズ問題などに取り組み、常に被害者の側に立ってきた人権派フォトジャーナリストとして世界的に知られる広河隆一氏(75)に、職場の女性へのセックス要求、ヌード撮影、セクハラなどの疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。」というもの。記事では7人の女性が証言している。
 私は広河氏とは最近まで面識がなく、先日の安田純平さんの記者会見で隣に座って初めて言葉を交わしたのだが、以前から、セクハラが激しいという噂は聞いていた。たくさんの人が被害に遭っているが、あまりにも「エライ」人なので誰も止められないとも。文春記事には「レイプ」と見なしてよい証言もあり、もはや刑事事件のレベルだ。
http://bunshun.jp/articles/-/10144
 広河氏は同日、事実関係を認めて謝罪した。
《私は、その当時、取材に応じられた方々の気持ちに気がつくことができず、傷つけたという認識に欠けていました。私の向き合い方が不実であったため、このように傷つけることになった方々に対して、心からお詫(わ)びいたします」と謝罪するコメントをホームページで発表した。報道写真の月刊誌「DAYS JAPAN」を発行するデイズジャパンは、25日付で広河さんを社長から解任したという。同社は「読者のみなさまへ」と題した声明で「広河氏が、被害者の方々の尊厳を傷つけてしまったことに対して、弊社として、心からお詫び申しあげます」と謝罪。広河氏の言説を看過するわけにはいかず、これに与(くみ)する立場ではないことも鮮明にいたします」「広河氏が、自ら本件について誠実な対応を取ることを求める」などと記した。》朝日新聞https://www.asahi.com/articles/ASLDV671WLDVUCLV014.html
 性犯罪は、万引きなどとは違って、深刻な人権被害である。広河氏は、女性や子どもの人権をテーマにして多くの信奉者を持っていただけに責任は重い。
 アメリカのハリウッドで著名な映画監督やプロデューサー など「エライ」さんに対するMeToo運動がここ1、2年大きな話題になったが、被害女性からの告発は日本ではまだまだ理解が進んでいない。
 記者会見でレイプ被害(やはりジャーナリストによる)を訴えた伊藤詩織さんは、日本に居れなくなり海外に居を移した。
《オンラインで批判や脅迫にさらされ、身の危険を感じました。外に出るのも怖かったです。以前から「相手を告発すれば日本で仕事ができなくなる」と言われていたので覚悟はしていましたが、想像以上で、日本で暮らすのが難しくなってしまいました。そんなとき、ロンドンの女性人権団体から「安全なところに身を置いたら」と連絡をいただいた。去年の7月からロンドンで暮らしています。》https://www.asahi.com/articles/ASL9F5J76L9FPTFC01C.html?iref=pc_rellink
 今回の事件を見ても、被害を訴える場が雑誌にしかないのが残念だ。