新田佳浩選手が金メダル獲得

 やった!! 17日、新田佳浩選手がついに金メダル!14日の銀につづき2個目のメダルだ。
 《距離男子10キロクラシカル立位で新田佳浩(37=日立ソリューションズ)が金メダルを獲得した。銀メダルのスプリント・クラシカルに続く表彰台で、2冠の10年バンクーバー大会を含めて自身3個目の金メダルとなった。6大会連続出場の「レジェンド」は肉体改造と家族の支えを力に世界王者に返り咲いた。》毎日新聞
 私が新田選手のことを知ったのは、荒井秀樹監督(63)とお会いしてから。荒井さんは、パラリンピッククロスカントリースキーバイアスロンの日本代表監督を務める。荒井さんと新田選手の 《出会いは新田が中学生のころ。数年後に長野パラリンピックを控えていたが、選手はわずか。当時から日本代表にかかわっていた荒井さんが、健常者の大会で上位に食い込む新田に目をつけ、岡山県の実家を訪ねた。》朝日新聞

 新田選手は、そこから20年の日々を荒井さんと歩んだ。荒井さんは、1998年長野パラリンピック日本代表のヘッドコーチを務めて以来、前回ソチ大会まで5大会連続でメダリストを輩出した名指導者である。
 去年暮れ、荒井さんの『情熱は磁石だ パラリンピックスキー20年の軌跡、そして未来へ』(旬報社)という本を読んだ。

 これを読んで、荒井さんが、技術指導だけでなく選手の精神的な支え、さらには、パラスポーツ(障害者スポーツ)の認知と普及にも大変な努力をして状況を変えてきたことを知った。パラスポーツが、障害者への「福祉」として厚労省の所管だった。荒井さんたちの長い働きかけもあって2014年ようやく健常者と同様、文科省に移管され、認知度も上がってきた。とはいえ、課題は多い。
 パラスポーツ、とくに冬季の競技では特殊な器具の性能がものをいう。例えば、アルペンスキー女子大回転で5個のメダルを取った村岡桃佳選手の活躍を支えたのは、チェアスキーの技術開発だった。
http://www.chunichi.co.jp/article/olympics/pyeongchang2018/news/CK2018031602000257.html
 ワックスマン、コーチなどの専門的なスタッフのバックアップも必要だ。競技者個人の努力はもちろんだが、器具の開発を含むスポーツを支える環境が決定的に重要となる。
 また、経済的な問題もクリアしなければならない。オリンピックで成果を出すには、年に何度もあるワールドカップに出場することはもちろん、海外や国内での合宿なども必須だ。それらの旅費、滞在費の多くは個人負担で、冬季競技の負担は、夏季競技よりはるかに大きい。選手たちの多くは仕事で得る収入を競技につぎ込み、借金をする人も少なくないという。
 欧米先進国では企業から、ロシア・東欧では国家から大きな支援があるパラスポーツを日本で発展させ、世界の頂点で競えるようにするのは並大抵のことではない。
 そんななかで奮闘している荒井さんを応援したいという気持ちになったのが、パラスポーツに関心を持ったきっかけだった。
 パラリンピックを機に、パラスポーツ、さらには障害者の置かれた状況にも目が向けられればと思っている。