安倍政治に愛想を尽かす保守派 2

 旧知のジャーナリストが安倍首相の選挙応援に乗り出している。
 安倍晋三総決起大会の登壇者は演歌歌手の山本譲二氏、北島三郎氏、下関市長の前田晋太郎氏、ジャーナリストの末延吉正氏、安倍昭恵氏ほか多数。当然ながら話は安倍候補への大絶賛。そこでジャーナリストの末延氏が「テレビの洗脳に騙されてはいけませんよ」と話していた。末延氏は安倍氏とお友だち。》(畠山里仁氏のツイート)
https://twitter.com/hatakezo/status/920981934007713793
 末延氏は、私がバンコク駐在時代、テレ朝のバンコク支局長をしていた。同じバンコク日本人記者会に属しており、家に遊びに来たこともある仲だった。ただ、徒党を組んでボスとして振る舞いたがる人で、私が彼の言いなりにならないと見るやライバル視されていやがらせを受けた。「味方以外は敵」という誰かさんにそっくりの考え方で、テレ朝内では嫌われていたにもかかわらず、とんとん拍子に出世し、政治部長までつとめた。複数の不祥事があってテレ朝を退社したあとは大学の先生になりコメンテーターとしてテレビによく出ている。
 末延氏は山口県の末延建設の御曹司で、同郷の安倍首相とは非常に親しく、「おい、安倍」と呼び捨てにするのを何人もの記者が見ている。テレ朝のワイドスクランブルで安倍首相を擁護して、キャスターの橋本大三郎とぶつかるのをよく見る。「テレビの洗脳に騙されてはいけませんよ」だって? 末延氏には言われたくないな。
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 きのうの続き。政治学者の中島岳志氏は、共産党山下芳生副委員長との対談で、保守派としての立場から共産党を支持する理由をあげている。
 共産党を保守の側だと位置づける若者が多いというんです。これは、共産党が生活の地盤を守るということを非常に強く言っているからだと思います。「大切なものを守るためには変わらないといけない」というのが基本的に今の共産党の政策だとするならば、保守の哲学者エドマンド・バークが言ってきた「保守するための改革」ということとまったく同じなんです。
 共産党はTPP反対であり、日豪EPA経済連携協定)や日米ETA(自由貿易協定)にも非常に厳しい立場ですので、グローバル資本主義新自由主義の暴走への対峙というその姿勢も私と一致します。さらに大企業に課税し、下げすぎた所得税最高税率を元に戻すべきだとする共産党の姿勢も当然の話で、安倍さんの言う消費税増税より先決です。》
《私は保守の立場から派遣労働に反対してきました。福田恒存という戦後保守を支えてきた文芸批評家は「人間・この劇的なるもの」(新潮社)で、人間は演劇的な動物であると述べている。社会の中で人間は役割というものを演じ、その役割を味わいながら生きていると。しかし派遣労働あるいは非正規労働は、ここを破壊するんです。とくに派遣の人たちは、現場で「派遣さん」と呼ばれ、代替可能性を常に突きつけられている。》
《日米関係については、本来の保守は基本的に対米従属から脱し主権を取り戻せという立場です。》
 自公合わせて300議席の大台にのるという新聞の予想。実は安倍政権は、本来の保守派からも愛想をつかされているのだが。