きょうのニュースは、清貧な南米の前大統領の来日とタックスヘイブンに群がる金と権力に汚い面々という対照的な話だった。
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「パナマ文書」は世界中を激震させている歴史的スクープだ。(日本では騒がれていないけど)
この膨大な文書を分析し暴露したのは「国際調査報道ジャーナリスト連合」(ICIJ)という団体。
ここのHPにVictims of Offshore (オフショアの犠牲者)という説明動画があって、この問題の重要性がよく分かる。
(なお、オフショアとは、オンショア(海風)に対して陸から海の方へ吹く「陸風」のことで、転じてビジネスの拠点などを他国に移すことをいう)
https://panamapapers.icij.org/
まず、シリアの爆撃シーンが出てきて、
「この3年、シリアでは爆撃で2万1千人の民間人が犠牲になった。この戦争犯罪は報道されたが、オフショア経済の裏の世界が果たした役割は知られていない・・・」と説明が始まる。
2014年、英米を含むほとんどの国が、シリア空軍に燃料を提供している会社との取引を禁じたのだが、実はこうした会社が中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の顧客だった。(つまり制裁逃れができた)
また、顧客リストには、ロシアで孤児の女の子たちを誘拐し、レイプして売り飛ばしていた小児愛者の名も!
さらに、ウガンダからは4億ドル(440億円)の財産隠しの顧客がいるが、これはウガンダ政府の年間厚生予算に匹敵する。ウガンダでは国民の3分の1が1日1ドル25セント以下で暮らす貧困層で、乳児死亡率は世界で最悪10国に入るというのに・・・。
要するに
「1100万以上のリークされたファイルにもとづいて、汚職、武器取引、脱税、詐欺、麻薬密輸を容易にするためにオフショア企業を利用する者たちを暴露する。この文書の背後には、ウラの取引の不正行為の見えない犠牲者がいる。」という。
世界に多くの犠牲者を生み出している構造悪がここにあるというのだ。
北朝鮮の核開発などにもつながってくる。
ジャッキー・チェンやサッカーのメッシなどの名が出ているが、単に有名人や金持ちが「財産隠しをしていてけしからん」というスキャンダルではない。
すでに、アイスランドでは首相の辞任に発展し、先進国では本格調査がはじまった。
一方、ロシアや中国など独裁国家ではどこまで情報抑え込みが可能か。注目だ。
とりあえず全体像は、《世紀のリーク「パナマ文書」が暴く権力者の資産運用、そして犯罪〜史上最大級のリー クと100を超えるメディアの調査報 道が生んだ世界規模のスキャンダル》でおさえておく。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/04/43-1_1.php
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「世界で一番貧しい大統領」として知られるホセ・ムヒカ氏(ウルグアイ前大統領) が来日し築地市場を見物、東京外語大学で講演した。
テレビで紹介された「ほんとうの幸せとは?」と問いかけ、世界の格差解消と持続可能な発展を訴えるスピーチはすばらしい。世界にはこういう政治家がいるということを知らしめただけでも、今回の来日は意味がある。
何より、いい顔してるな。
2012年7月のブラジルでの国連の持続可能な開発会議(Rio+20)での演説。すばらしい。感動する。
https://www.youtube.com/watch?v=jwbaoi6a4BU
Mrサンデーは前から取材していた。
番組インタビューで、ムヒカ氏は貧しい少年時代、近くに住む日系人に影響されて花を育てるようになったと語る。また、日本人が古き良きスピリットを失ってしまったと鋭い指摘をしている。
https://www.youtube.com/watch?v=ep-_W7UT9SI&nohtml5=False
ただ、彼は単なる「心優しいおじさん」ではない。
6発の銃弾を体に受け、4回投獄され、2回脱獄し、13年間獄中にあった左翼運動のバリバリの闘士。権力につかなかったら、ただの「テロリスト」で片づけられた人物だ。
体を張って世の中を動かそうとしてきた人の言葉は、芸術家やジャーナリストが理想を語るのとは迫力が違う。