世界を震撼させる一枚の写真

この写真が世界に衝撃を与えている。

《トルコ沖で移民らを乗せた船が転覆した後、海岸に打ち上げられた男児の遺体を写した写真が、大きな反響を巻き起こしている。
 写真はインターネット上で広く共有され、ツイッター上ではハッシュタグ「#KiyiyaVuranInsanlik(海岸に打ち上げられた人間性)」が世界のトレンド上位に入った。
男児は、ギリシャのコス(Kos)島に向かう途中の2日朝にトルコ海域で沈没した移民船2隻に乗っていて死亡したシリア人のうちの一人とみられている。
 死亡したのは少なくとも12人で、うち5人が子ども、1人が女性だった。他に15人が救出され、救命胴衣を着け海岸にたどり着いて助かった人もいた。》(3日AFPより)

これが、世界に突き付けられた問題の象徴と見られているのだ。

このところ、欧州にむかう難民の話が立て続けに大きなニュースになっている。
先月末には、オーストラリアで保冷車の中から窒息死した71人のシリア難民らしい遺体が見つかり、リビア沖ではイタリアに渡ろうとした密航船が沈み、200人が溺死した。

こうした悲劇はこれまでもあったのだが、いま、難民の激増で頻発しているのだ。

今年は、戦後史のなかで最大の難民が生み出される年になるだろう。
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によれば、世界の避難民の数は、2013年が5千万人、2014年が6千万。今年はさらに急増して、記録をつくるのは確実だという。
ドイツ政府は毎年、流入する難民の予測を発表するが、当初40万人としていた予測を80万人と修正した。人口80万人の町が一つできると想像すると、すごいことだと思う。この数は庇護を求める人々、つまり難民申請者のみで、EU圏から合法的に移動してくる人々(例えばロマ=いわゆるジプシーなど)は含まない。

各国首脳が、難民問題を欧州が直面する最も緊迫した問題だと声明を発している。
まさに世界を揺るがす大問題なのだ。

実は、日本も去年の難民申請者数は約5000人と過去最高を記録した。
結果、難民認定された人は・・・たった11人。

グローバルな感覚を持ちましょうとよく言われるが、それには英語を勉強すればいいというものではない。難民という存在をどう見るのかは大事なポイントだと思う。
(つづく)