知らなかったですむとは知らなかった

おぬしもか みんな貰えば怖くない   (大阪府 首藤媾平)
知らなかったですむとは知らなかった (埼玉県 前山研一郎)

朝日川柳(5日)より。

補助金を貰った企業からの寄付ということは、明らかに口利き料という意味だろう。
「知りませんでした」「法には触れないはず」「返金いたしました」・・
言い訳をするそばから、また新たな疑惑が出てきて、どこまでいくのやら。
だいたい、共産党以外の政党には、巨額の「政治助成金」が国庫から出ている。二重盗り、三重盗りだ。

安倍総理が代表を務める政党支部も、化学メーカーの宇部興産や大手広告代理店の電通など、国の補助金を受けていた企業から政治献金を受けていたことが発覚した。宇部興産は、研究開発の補助金なので規制の対象外だと抗弁している。
こんな大企業にまで補助金が出ているのだなと知って意外だったが、全国の中小零細企業のおやじさんたちはどう思っているだろう。


こういう話がある。
ここは東京都内の一流ホテル。普通の客室が並ぶ中に、企業の経営者らが頻繁に訪れる部屋がある。
そこを事務所のように使っているS氏は、主だった政治家と太いパイプがある。経営者が来るのは、補助金を依頼するためだ。
「分かった」と請け負うS氏。そしてこう付け加える。
「1割5分だよ」と。
出た補助金の15%をS氏個人にキックバックせよというのだ。このほか、政治家へのお礼も必要となる。
財政赤字が深刻ななか、国庫からおかしな金がダダ漏れしている。

今は、とりあえず、「こんなお話がありますよ」と言っておこう。
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最近、紛争地とジャーナリズムみたいなテーマでメディアから聞かれる機会が増えた。
はて、自分はどのくらい紛争地といわれるところにいったのか。数えてみる。
ほとんどが、東南アジアのいわゆる反政府ゲリラの支配地区での取材で、東から;

新人民軍(フィリピン共産党の軍隊)(ネグロス島ミンダナオ島
MNLFイスラム独立運動モロ民族解放戦線)(フィリピンのホロ島)
マラヤ共産党(タイ・マレーシア国境地域)
タイ共産党(タイの東北地方とマレーシアとの国境地域)
ポル・ポト派(タイ・カンボジア国境地域)
ソン・サン派(タイ・カンボジア国境地域)
FUNCINPECシハヌーク派)(タイ・カンボジア国境地域
カレン民族解放軍(タイ・ビルマ国境地域)
ABSDF(全ビルマ学生民主戦線)ビルマのカレン州とカチン州)
カチン独立軍ビルマのカチン州と中国雲南省の国境地域)
モンタイ軍麻薬王クンサの軍隊)(ビルマのシャン州)
ラカン解放軍ビルマ軍政と戦うアラカン仏教徒軍)(バングラデシュ

これで12か。
思えば、80年代から90年代にかけては、東南アジア各地で反政府武装闘争が花盛りだったのだなあ。

この他、インドネシアアルカイダ系組織とされる「ジェマー・イスラミア」JIの幹部とインタビューして根拠地にも行く予定だったが、その幹部らが逮捕されて行けずじまいになった。

こうした取材の場合、取材者が本当の前線まで従軍するのは、ゲリラ側にとって大きな足手まといになる。だから、私はそれを要求しなかったし、ゲリラ側も私たちを危険な目に遭わせないように留意してくれた。
むしろ、なぜ自分たちが闘わなければならないのか、武装闘争の意義を説明し、支配地の住民の生活と意見を知ってもらいたがった。
場合によっては、敵軍がそばまで来たとの情報で、闇夜、雨のなか、ほうほうの態で山中を逃げ回ったりということはあったが、心底危ないと思ったことはあまりない。

むしろ、怖かったのはまったく別の取材だった。
それは都会のど真ん中で生じた恐怖だった。
(つづく)