集団的自衛権とTPPはバーターだった?!

takase222014-06-18

日本がワールドカップ初戦で負けたことで、いま取材中の企画の放送予定が繰り上がる可能性が出てきて、がぜん忙しくなった。
日本が勝ち続ければ、サッカーの話で番組が埋まる。だが、金曜のギリシャ戦で負けたらサッカー以外のネタを用意しなければならないのだ。世間の関心がどこにあるのか(とテレビ局が考えているか)で番組内容が変わるわけである。
昨夜、飲み会で遅かったのだが、今朝は5時起き。
代々木公園で毎朝散歩するMさんに会うためだ。Mさんはかつて暴力団にいて映画『仁義なき戦い』シリーズにも登場する、この世界では伝説の人である。ダイナマイトを抱えて相手の組長宅に突っ込んだりして、鉄砲玉として恐れられたが、今はいつもニコニコと子犬と戯れる穏やかな老人である。
彼に取材対象者を紹介してもらい、用事が済んだので、一人でぐるりと散歩してみた。
まずとても広いのに驚いた。うっそうとした木立もあれば、バードサンクチュアリもあって山の中にいるようだ。
東京に長年住んでいたのに、代々木公園をちゃんと歩いたのは初めて。ちょっとした感動だった。実にすがすがしい。体にいいことを全然していない私だが、散歩くらいしようかな。
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公明党が難色を示しても、やると決めたらやるという。
《政府・自民党は、集団的自衛権行使を可能にする憲法解釈の変更について、7月初旬までの閣議決定に向けて公明党と調整に入る。公明党の党内論議を見守ることにしたため、当初目指した22日までの今国会中の閣議決定は困難となったが、大幅な先送りはしない方針。政府が先に提示した閣議決定の原案をめぐる自民、公明両党の修正協議は20日から本格化する。》(時事)
そして、自民党が13日に提示した自衛権発動の新3要件とはこうだ。
《現行の自衛権発動の3要件を見直し、日本への攻撃がなくても他国への武力攻撃が発生した場合に集団的自衛権の発動を認める。具体的には(1)日本の存立が脅かされ、国民の生命や幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある(2)これを排除し、国民の権利を守るためにほかに適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる−などの場合に武力行使を認める内容。》(東京新聞
むちゃくちゃである。
油の値段が上がると国民生活に大きな影響が出るとして、中東ペルシャ湾まで行ってレーン(海上交通路)での掃海活動をやるという。これでは、どこまで拡大解釈されるかわからない。
石油禁輸措置を一つの大きな理由にして日本が対米戦争に突っ込んでいった歴史が頭をかすめた。
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安倍首相は、アメリカが日本に集団的自衛権行使容認を求めているかのように演出しているが、実は、安倍首相がオバマに頼み込んで、今回の首脳会談で「歓迎し支持する」との言質をもらったのではないか。
この点については、「東京新聞」の12日の記事「集団的自衛権を基礎から考える―TPPと表裏一体」が興味深い。
経済に関するTPPと集団的自衛権の問題は無縁だと思うかもしれないが、実は表裏一体だという。そして今回、ある取引があったと示唆する。
4月23日、安倍はオバマと銀座の寿司屋で夕食をともにした。安倍は親交を深める狙いだったが、オバマは交渉が難航するTPPを持ち出したという。
《秋の中間選挙を控え、成果を得たいオバマ氏は、夕食会で首相に譲歩を迫った。オバマ氏は過去二回の首脳会談で、集団的自衛権の行使容認を説明した首相に賛意を示さなかったが、今回は日本側の強い求めで共同声明に「歓迎、支持する」と書くことが固まっていた。その声明が吹き飛びかねない空気に、首相はTPPでの譲歩に傾いた。
 正式な首脳会談を経て、米国による集団的自衛権の支持は声明に明文化された。TPPでは、米側の要求で「前進する道筋を特定」などの文言が盛り込まれ、日本は事実上譲歩した。纐纈(こうけつ)厚・山口大学教授(政治学)は「TPPで要求をのませたい米国が日本とバーターした」として、日米間の取引だったと指摘する。
 TPPで譲ってまで、首相が集団的自衛権にこだわったのは、日米同盟の強化に加え、オバマ氏の後押しが行使容認への反対が根強い世論の説得につながるとの判断からだ》

首脳会談のあと、TPP問題でメディアの評価がくっきり割れ、読売新聞と朝日新聞の一面にそれぞれ《日米TPP基本合意》と《TPP大筋合意見送り》とほぼ正反対の大見出しが載った。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20140429
結果的には読売が正しく、日本はここで譲歩を約束させられたのだろう。読売はパイプの太い官邸筋からリーク情報を得たのではないか。

もし東京新聞の記事のとおりだとすれば、個人の野望のために国益を売り渡す行為ということになるのだが・・・