週末、映画「0.5ミリ」を観た。
かみさんがどうしても観たいというので、付き合ったのだが、素晴らしい映画だった。
安藤サクラが放浪の介護ヘルパーを演じて実にいい味を出している。姉で監督の安藤桃子がサクラを「多面体。原節子のときもあれば、梶芽衣子のときもあるみたいな(笑)」と評しているが、不思議な存在感の女優だ。
何度も声を上げて笑ってしまうほどおかしい一方、もの哀しく、人間とは何だと考えさせられ、また、どんな人でもそのまま生きてていいんだという肯定感が残る。
http://www.05mm.ayapro.ne.jp/
3時間超の長い映画だが、おすすめです。
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最近、新聞の見出しを見て、「危ないな」と呟きたくなることが何度もある。
いくつもの情報が、日本にとって危険な一つの方向を示しているように思われるからだ。
それは、日本が「イスラム国」に対する軍事作戦に参加する可能性だ。
安倍内閣は集団的自衛権を行使する場合の自衛隊の出動要件として「存立事態」という概念を明文化するつもりだ。これは年末に報じられた。
《政府の安全保障法制の素案が明らかになった。集団的自衛権は行使の要件として「存立事態(仮称)」との概念を規定。周辺事態法は廃止し、新たな他国軍支援法を制定する。与党の調整を経て2015年1月にも関連法案の「全体像」をまとめる》(日経12月28日)...
《存立事態とは、日本と密接に関係する他国が武力攻撃などを受けて有事(戦争状態)になった時、日本が直接攻撃を受けていなくても、国の存立や安全が脅かされたり、国民の権利が侵害されたりする明白な危険があれば、自衛隊の武力行使や国民の権利制限が認められる状況を指している。》(朝日新聞10日)
去年の夏に出された、憲法第9条のもとで許容される自衛の措置としての「武力の行使」の「新三要件」はこうだ。
◯わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
◯これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
◯必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
このうち、「存立事態」は最初の要件に関連し、「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」があれば、集団的自衛権の行使が可能となる。といっても、これは日本への攻撃ではなく、「わが国と密接な関係にある他国」への攻撃に対して反撃するための規定であることは明白だ。
そもそも、集団的自衛権の行使容認は、中東での戦争参加を目指したものだったと思われる。
当時の議論で、政府は8つの事例を挙げた。この中の「戦時における国際的な機雷掃海活動への参加」「民間船舶の国際共同防護」は明らかに中東を念頭に置いている。
「産油国からの石油供給が滞り、原油価格が高騰するような事例」でも、「わが国の存立が脅かされる」と解釈できると安倍首相は言った。(7月14日の衆院予算委員会)
ガソリンの値段が高くなるだけでも「存立事態」になるというのでは、いくらでも拡大解釈できる。
他の二つの要件(他に手段がない、必要最小限の実力行使)も、解釈でなんとでもなる。
フランスの銃撃テロで「テロとの闘い」のムードが国際的に高まっている。
考えたくないが、もう一つ大きな「事件」でも起きれば、一気に「イスラム国をやっつけろ」「テロリストを一掃せよ」と暴走してしまうのでは・・・
そんなわけで、このところ、ちょっとびくついている。