「嫌中憎韓」のトレンド

舛添要一  211万3千票
宇都宮健児 98万3千票
細川護熙  95万6千票
田母神俊雄 61万1千票

大雪の翌日ということもあって、投票率は低かった。しかし、どの候補にも「風」は吹いていなかったから、投票率が高くても同じ結果になっただろう。この得票数は、現在の「勢力図」を反映したものといえる。
細川氏は2位につけることができなかった。たくさんの著名人が動いた候補者一本化問題を今から振り返れば、細川氏が「勝てる候補」だとの前提自体がどうだったのか。
立候補までの顛末、政策論争の拒否、演説の迫力のなさと無内容さには「勝てる候補」になる要素は見られなかった。
民主党が今の惨状では、自民の一人勝ちは当分続くだろう。対抗上、反対勢力の間の候補者一本化運動はもっと真剣に取り組まれると思われる。
「勝てる候補」かどうかという候補者側の条件と、その候補者が「許容範囲」かどうかという乗っかる側の判断があり、利害の対立する勢力間の信頼醸成プロセスの仕切り方がある。このあたりは派閥間調整を常とする自民党が上手で、野党がもっと習熟すべきことだと思う。
注目は田母神氏の得票の多さだ。
田母神氏が訴えた「景気」「防災」などの政策よりも、中国、韓国を意識した対外強硬姿勢が支持を広げた要因だ。
きょうの朝日新聞朝刊に「売れるから『嫌中憎韓』書店に専用棚」という見出しの記事があった。
《「嫌中憎韓」が出版界のトレンドになりつつある。ベストセラーリストには韓国や中国を非難する作品が並び、週刊誌も両国を揶揄(やゆ)する見出しが目立つ。
 東京・神保町の大手「三省堂書店」。1階レジ前の最も目立つコーナーに刺激的な帯のついた新書が並ぶ。
 「これでもまだあの国につき合いますか」「あの国に学ぶことなど一つとしてない!」「どうしてこの民族はこんなに自己中心的なのだろうか」
 同書店では昨年秋ごろから日本を賛美する内容の本と並んで、韓国や中国を批判する内容の本が売れ始めた。大月由美子主任は「店舗の売り上げに占める割合が大きくなり、専用のコーナーを設けることになった」と説明する。
 三省堂だけではなく、多くの書店が、こうした本を集めたコーナーを設け始めており、「嫌中憎韓」は出版物の一ジャンルとして確立しつつある。
 今年に入ってから既に、新書・ノンフィクション部門の週刊ベストセラーリスト(トーハン)のトップ10には『呆韓論』『侮日論』『嘘(うそ)だらけの日韓近現代史』の3冊が登場した。昨年の同時期には1冊もなかった。》
この「トレンド」は、今が過去最高潮ではないかと思う。
どう見ればよいのか。
(つづく)

緊急のお知らせ!
大阪市が映画内容に介入し、すでに完成した「解放区」という映画が上映できなくなるという事態になっている。
監督の太田信吾さんから直接に聞いたのだが、15日からの「大阪アジアン映画祭」への上映を取りやめたという。以下は太田さんのフェイスブックhttps://www.facebook.com/kaihoukufilmより。
【大切なお知らせ】先日、既に上映が決まっていた大阪アジアン映画祭での「解放区」上映を辞退しました。作品が不本意なかたちで上映されることがわかったからです。楽しみにしてくださっていたかた、すみません。(略)ひとまずそのことだけ、お伝えしておきます。釜ヶ崎の街の描写や覚せい剤の描写について検閲を受けカットの要請を受け、それに答えようと努力しましたが、もはや「作品」とならないレベルと判断しました。(略)今回の一件では、行政により釜ヶ崎という街が隠蔽されようとしていることを強く感じました。釜ヶ崎の文化に触れ、街やそこに暮らす人々を愛している身としては憤りを感じています。そして大阪市の助成に対する在り方に対して、憤りを覚えています。(略)しかし、作品は既に満を持して完成をしております。別の形で、皆様に観て頂く機会があるかとおもいますので、その際にはどうぞ宜しくお願い致します。
【大切なお知らせ2】今回、行政が映画の創作行為に介入しカットしようとした箇所は下記の通りです。
・『統合失調症』『ドヤ』『シャブ』という台詞。
・『三角公園』『越年闘争シーン』『覚せい剤』『あいりん労働福祉センター』『"路上喫煙禁止"のポスターの前で路上喫煙・ポイ捨てする』『炊き出しに並ぶ人々』『セックス』以上の描写。
(これについては適宜続報します)