立憲主義が分からない首相

takase222014-02-14

安倍晋三首相が独裁者に見える。
「先程来、法制局長官の答弁を(質問者が)求めているが、最高の責任者は私だ。私は責任者であって、政府の答弁にも私が責任を持って、その上において、私たちは選挙で国民から審判を受けるんですよ。審判を受けるのは法制局長官ではない、私だ。」
これは十二日の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更をめぐる発言だ。
内閣法制局の議論の積み重ねなどいらない、選挙で勝ったんだから、首相である私が主導して解釈改憲をやりますよ、と言っているのだ。選挙で勝てば憲法もどうにでもなると公言している。
「暴走」という表現が大げさに聞えない。
どういう対抗策があるのか、考えていきたい。
東京新聞は、首相発言を一面トップで取り上げた)
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11日の日記に書いた映画「解放区」の映画祭辞退事件がニュースで取り上げられた。
大阪市から助成を受け、同市西成区のあいりん地区を描いた映画「解放区」を制作した監督が、「市側から作品を検閲され、内容変更を求められた」として、3月に同市で開かれる「第9回大阪アジアン映画祭」への出品を辞退したことがわかった。覚醒剤の密売人らが登場する場面などについて、市などで作る主催の実行委員会が「偏見を生む内容で、人権への配慮が必要」と削除を求めたのに対し、監督が「表現の自由の侵害だ」と反発したためだ。
 監督は俳優の太田信吾さん(28)で、「解放区」では自ら主演。友人を探しにあいりん地区へ来た主人公が覚醒剤に手を染める内容で、密売人から覚醒剤を購入し、使用する場面などがある。
 市は今回、同映画祭に2800万円を助成し、うち60万円は「解放区」の制作費に使われている。ところが、映画が完成した後の今月に入り、市が実行委の会議で内容の一部変更を要求。全会一致で認められたが、太田さんは修整を拒否した。
 太田さんは「要請通りに編集すれば作品として成立しない。行政があいりん地区の実情を隠蔽しようとしている」と訴え、市は「あいりん地区の人たちを傷つける内容で、税金を投じている以上、上映には同意できない」としている。》(2014年2月12日 読売新聞)

太田さんからきのう深夜もらったメールでは、事情をこう説明していた。
《予算の一部は、大阪市からの助成金60万円で成り立っており、企画段階から再三に渡り『ドキュメンタリー形式で西成区釜ヶ崎を撮影する』と打ち合わせておりました。しかし編集後には、市の担当職員が釜ヶ崎の街および覚せい剤についての全描写をカットするよう要請。市の相談のもと3度の改編を行いましたが、その都度、別箇所を指摘される状況でした。市による文化芸術活動へのこの行為は監督及びスタッフの尊厳が守られないだけではなく、事前の契約に反する行為であるため、映画祭での上映中止を要請致しました。》
具体的にはツイッターにこう書いている。
《実の息子を母親が『うちの息子は統合失調症で幻聴が聞こえて』と実際の病状説明するののどこが差別的な表現?息子役を演じる俳優は実際に統合失調症を患い、それをオープンに語ることを彼自身が望んでる。母親役を演じたのも彼の実際の母親。大阪市は家庭内の事情までも介入するのか?》
三角公園で撮影させていただいたライブの場面も明確な理由がなく削除を求められた。もしかしたらミュージシャンの『ビバ、ウルグアイ!』というMCが駄目だったのか?マリファナに対しても多様な思想はあって然るべき。議論すら起きない状況が一番マズい。》
この事件は、行政の文化助成のあり方を問題提起している。
実は太田さんは、私の会社でテレビ番組制作を助けてもらっている仲間でもある。
適宜続報していく。