微笑みの国で進む不気味な事態

takase222013-12-07

先日、赤坂見附の交差点の交番を通り過ぎたら、白い花が目に入った。
どうみても桜だな、と立ち止まると、幹に「カンザクラ」と書いたプレートがついていた。寒桜か・・
後でネットで見ると、「寒緋桜」(カンヒザクラ)といい、「中国南部から台湾にかけて分布し、日本では、主に沖縄県で野生化し、沖縄で「桜」と言えばこのカンヒザクラを指す」そうだ。
もうしばらくで満開になりそうだ。
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政府が、エネルギー政策を大きく転換するという。
経済産業省は6日、総合資源エネルギー調査会経済産業相の諮問機関)の基本政策分科会を開き、政府の中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の素案を提示した。原発を「重要なベース電源」と評価したうえで、「原子力規制委員会によって安全性が確認された原発について再稼働を進める」と明記した
 東日本大震災後に民主党政権が掲げた「原発ゼロ」政策を転換する。》(産経新聞
こういう大事な問題も、特定秘密保護法案のニュースの陰で、あまり注目されていない。わざと、どさくさの時期を狙っているのかと思ってしまう。
「決められる政治」といっても、議論や分析や合意という決定の前にすべきことをしないから、危うくてしょうがない。注意しよう。
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さて、タイの騒動。
恒例だが、5日の国王誕生日の直前にはデモ隊も静かになった。
《タイのブミポン国王は、86歳の誕生日に際して国民に演説、国の安定のために国民の務めを果たすよう求めた。首都バンコクなどで反政府デモが拡大し混乱が広がっているが、直接的には言及しなかった。
反政府デモは国王の誕生日で一時的に休止している。
誕生日を祝う式典でブミポン国王は、国家のためにお互いに支えあい務めを果たすよう求め、「全ての国民はこの点を十分自覚し、国家の安全、安定、国民のために務めを果たし振る舞うべきだ」と述べた。
式典にはインラック首相のほか、軍や警察、官僚のトップ、野党指導者らが参列した。》(ロイター)
国王のお言葉では決着がつかない。「休戦」が明けて、9日が「決戦」になるようだ。
《タイの反政府デモを率いているステープ元副首相は、9日を「最後の戦い」と位置づけ、自らデモ隊を先導して首相府に行進することを宣言した。同氏は「これ以上闘争を長引かせるべきではない」と語り、9日をデモの一つの区切りとする考えを示唆した。》(朝日新聞
国王をテレビで見たが、ときどき言葉が出ずに間(ま)があくことがあり、さすがにお歳だなと感じた。
タイの国王とは、どんな地位にあるのか。時間がないのでWikipediaですませてしまうが;
憲法によればその地位は「尊敬し崇拝すべき地位」(第8条)として人民の最高点に立つ人物とされており、「タイ軍の総帥」(第9条)として軍隊の中で最高の階級が与えられ、「仏教徒であり且つ宗教の保護者」(第10条)として宗教界の頂点に立つとされている。一般のタイ国民との大きな違いとして、国王はその行為に関して無答責、「何人も問い詰めたり告訴する事は出来ない」(第8条)地位にある。》
つまり、国民の尊敬の対象であり、軍と宗教を束ね、何をやっても責任を問われないというものすごい地位なのである。
そして、不敬罪がタイ刑法112条に規定されている。
《第112条 国王、王妃、王位継承者あるいは摂政に対して中傷する、侮辱するあるいは敵意をあらわにする者は何人も三年から十五年の禁固刑に処するものとする》
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%95%AC%E7%BD%AA
たとえば、タイの映画館では、上映前に国王賛歌が流れ、起立して直立不動の姿勢が義務付けられている。起立しないと不敬罪になる。普通の市民生活にも関係してくる。
国王をめぐっての状況が、タイの政治抗争の背景にあると先日書いたが、ここ数年、この不敬罪による摘発が急増している。
2009年には2300ものウェブサイトが王室を侮辱したとされて閉鎖された。
あの微笑の国で、不気味な事態が進行しているのである。
(つづく)