日曜の朝、去年暮れ急死した親友の一回忌だった。
昨年末の日記に追悼の思いを書いた。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20121229
納骨式も執り行われ、開かれたばかりの墓苑の真新しいお墓にお骨が納められた。墓石には「悠」の文字と本の絵が描いてある。「本が好きだったから」と奥さん。お墓のデザインも自由になっているようだ。
風は寒かったが、うららかな日差しが降り注いで爽やかだった。
一緒に参列した中学の同級生のF君も私も、いまだに彼がいなくなったことが心の底では実感できない。骨壷を見ても、誰のお骨なんだ?という思いがある。
喪失感の一方で、奥さんも4人のお子さんもしっかりと生きているのを知って、少し安心した。
驚くのは時の過ぎる速さだ。彼の死からもう一年たつのか。あっという間だった。
「一年がこんなにはやいなら、俺たちがお墓に入るの遠くないな」としんみり語り合った。そして、常に「死を意識して」生きていこうと。
人は必ず死ぬ。それは頭でわかっているものの、自分はいつまでも死なないんじゃないか、と思っている。明日も生きているだろう、来週も、来月も、来年も。そして10年、20年後も当然生きているはずだと根拠無く思い込んでいる。
毎日、死を思っていると、違った生き方になると思う。いま、それを実行していて、違いを実感している。
この話はいずれ。
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一回忌のあと、急いで都心の編集スタジオへ。
15日の週にテレビ朝日系で放送予定の30分ドキュメンタリー番組「テレメンタリー」の編集をやっているのだ。
タイトルは「父はスパイではない!〜革命家・伊藤律の名誉回復」。
《ゾルゲ事件摘発を招いた「スパイ」とされた元共産党幹部、伊藤律。1950年に忽然と失踪した律は、30年もの空白のあと中国から奇跡の生還を果し、多くを語らずに死んだ。近年、元特高の証言や米国機密文書の発掘で、律のスパイ説の根拠は崩れてきた。律の生誕100年を期に、息子の淳は、中国へと父の足跡を追う旅に出た。共産党の秘密指導部があった「北京機関」、律が裁判もなく長期の獄中生活を送った刑務所・・。そこで淳が見たものは。》
4月にはやはりテレメンタリーで『21年目の真相〜あれは誤報だったのか』という番組を作ったが、これはミャンマー民主化運動内に起きた「スパイ」粛清事件が冤罪だったという内容。
お前はスパイの話しかできないのか、と揶揄されそうだな。
かなり「オタク」というか、近年の民放ではめずらしい企画だと思う。
ご関心ある方はどうぞごらんください。
http://www.tv-asahi.co.jp/telementary/
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北朝鮮で金正恩の叔父で「後見人」とされた張成沢が粛清されたのは確実となった。
《北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の叔父で正恩氏の事実上の後見役とされていた張成沢(チャン・ソンテク)氏が、会議から強制的に連れ出される姿を映した写真を放映した。朝鮮労働党の会合が8日に開かれたと報じるなかで伝えた。
写真には、張氏が制服を着た護衛とみられる複数の人物に会議場から連れ出される姿が移っている。
朝鮮中央通信社(KCNA)はこれに先立ち、張氏が「犯罪行為」のため解任されたと報じていた。》(9日ロイター)
これは、軍部の台頭でもなく、張成沢が「犯罪行為」を働いたからでもなく、政策上の対立でもない。「指導者」の地位を脅かす可能性のあるものを切るのは、父親も、毛沢東も、ヒトラーもやってきたし、「全体主義」では普通にみられることだ。驚くことではない。