ある程度の放射能汚染は「しゃーない」

takase222013-08-28

米国はシリア攻撃の準備が整ったと公言している。早ければ明日29日にミサイルを撃ち込むとの観測もある。
そんななか、ダライ・ラマ法王は、きょう、キング牧師I have a dream演説50周年を記念して、自らの「夢」を語った。
《私にはいつも一つの夢がある。今世紀中に、世界が真に幸福な一つの家族となる夢が。これを達成するには、人類家族が一つであること(oneness)の感覚を持つ必要がある。我々は、教育そしてより現実的かつ全体的な思考をつうじて、人類が一つであることの感覚を育成することができると私は確信している。そうすれば、暴力と戦争の基盤そのものがなくなってしまい、今世紀は平和と非暴力の世紀となるだろう。》(ビデオで見られます)
https://www.facebook.com/photo.php?v=564834963554487
sense of oneness(センス・オブ・ワンネス、一つであるという感じ)を繰り返している。システムや制度、規則ではなく、人の心のレベルの向上が、平和には不可欠だということだ。
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チェルノブイリでは核暴走から爆発が起き、炉心の放射能はそのままの組成で環境に放出された。ストロンチウムプルトニウムの量も多く、これらの内部被曝も無視できないレベルにあった。
一方、福島の事故では、大気中に放出された放射能は、揮発したヨウ素セシウムが中心で、炉心そのものは爆発していない。幸いなことに、体内にながく留まることで知られるストロンチウムプルトニウムの放出はごくごく微量にとどまった。
《被曝ということでは、福島ではストロンチウム90やプルトニウムはとりあえず無視していいと思っています》というのが今中氏の見立てだ。(注1)
見てきたように、福島第一原発事故による被曝は、幸いにも、さほど大きなものではなかった。また、食品や水道水などの検査も、いろいろ不備が指摘されながらも機能しており、今後、大量の経口被曝が起きることは想定できない。これが現実である。
ところが、海外から研究者が日本にやってきては、怪談のようにこわい話をしていく。
いわく、内部被曝外部被曝よりはるかに危険だ、ICRPがの基準や係数は全く信用できない・・・。
ある高名な研究者は、福島第一原発事故で140万人(!)ががんを発病するだろうとまで言う。
http://d.hatena.ne.jp/takase22/20110721
今中哲二氏は、日本の原発行政に真っ向から闘ってきた研究者であり、福島の事故後は現地にいち早く入って、政府のふがいない対応振りに警鐘を鳴らし続けてきた。その今中氏はこういう。
《「内部被曝外部被曝に比べて格段に怖い」という意見がありますが、私はこの意見に与していません。》また《内部被曝を計算するためにICRPが報告している係数がそれほど間違っているとは思っていません》P91
《福島周辺汚染地域の現状での被曝は、内部被曝より外部被曝のほうが大きいと思っています。》
《私たちは日常的に自然放射線や医療用放射線という“結構強い”放射線(注2)にさらされて生活していることを考えると、場所による自然放射線の違い程度の被曝であれば「神経質になってもしゃーない」と私は思っています、
 東電の事故による汚染が原因であることはシャクですが、ある程度の放射能汚染は「もう、しゃーない」という感覚になったほうがいいでしょう》P140
で、福島の子どもたちは子どもを産めるのだろうか?
《被曝影響についてはっきりしたことをいうためには、まず子どもたちがどの程度の被曝をこれまでに受け、これからも受けるのか見積もっておくことが必要です。そして、汚染地帯の子どもたちの定期的な健康調査をおこない、それをデータベース化して追跡調査するシステムが必要です。並行して、子どもたちになにかの健康異常が認められた際には、国の責任でケアして補償する制度をつくっておくことが大事でしょう。
そうしたシステムや制度が整えられてはじめて、私としては{自然放射能レベルの被曝であれば}「よくわからないところはあるけれど、たぶん心配にはおよばないよ」といえる気がしています。》P239
ただ危険を叫ぶのではなく、福島の子どもたちのために何が必要かを具体的に考えていかなくてはならない。
(注1:これは大気経由の陸の汚染についていえることで、炉心を冷やした汚染水にはプルトニウム等が含まれているはずで、これが漏れているのは大きな問題である。)
(注2:日本人の医療被曝は、平均年間2ミリシーベルトとされている。)