放射線の遺伝的影響とは

takase222013-08-22

仕事でせわしかったのと母が手術したこともあって、お盆はずっと東京にいた。
ただ、父の初盆なので、かみさんに山形のお寺にお参りに行ってもらった。いなかのJAの直売所に立ち寄ったらサギソウがあったと、買ってきた。名前のとおり、真っ白なサギの形の可憐な花が咲いている。
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エジプトでは、クーデター反対派を軍が弾圧し大量の死者が出ている。
一方、シリアでは毒ガス疑惑が。
《内戦状態にあるシリアの反体制組織は21日早朝、「ダマスカス近郊で政権軍が空爆で猛毒ガスを使用し、1350人の死者が出た」と発表した。シリア政府は「根拠がない」と否定しているが、欧州各国やアラブ連盟は事態を重視。国連調査団に対し、現地での調査を求めた。
反体制組織の「地域調整委員会」によると、政権軍は21日未明、ダマスカス近郊のザマルカ、アインタルマ、東グータなどを空爆した際、化学兵器を装填(そうてん)した爆弾をつかったという。死者のうち子供が約半数を占め、負傷者は全部で5千人以上に上るという。事実とすればシリアの毒ガス被害では最大規模となる。》(朝日)
シリアには国連調査団が入っている。それなのに、首都の郊外で大規模な毒ガス使用というのは、ちょっと考えにくいのだが、真相はどうなのか。
そういえば、20日山本美香さんの命日だった。あれから1年がたつのか。内戦決着の見通しはまだ見えない。
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さて、前々回紹介した『朝日新聞』高橋真理子編集委員の「女性と放射線 心配しすぎる必要はない」に対しては多くの批判が寄せられた。
中でも、高橋氏が、広島・長崎の被爆者調査にもとづいて、放射線の遺伝的影響はないと言い切っていることに批判が集中した。
福島の女性が子どもを安心して産めるのか、私の尊敬する研究者、今中哲二氏の見解を聞こう。
京都大学原子炉実験所の今中哲二助教原発に警告を鳴らす、いわゆる熊取六人衆の一人)は、チェルノブイリ原発事故を調査し続けてきた第一人者で、私は今中氏の研究から学ぶところが多かった。
3.11直後、政府が放射線の値を公開しないでいる時期に、真っ先に飯舘村に独自調査に入ったことでも知られている。今中氏自身が広島出身の被曝2世で、原爆による被曝についても発言している。
《被曝2世についての調査は、1946年5月から1984年12月末の間に生まれた約8万人の被曝2世を対象に追跡調査がおこなわれていますが、いまのところ被曝量の大きかった親の子どもで死亡率やがん死率が大きいという結果は認められていません。500家族の親子を対象としたDNA検査でも、子どもに突然変異が増えてはいませんでした。
こうした調査結果は、原爆放射線被曝にともなう遺伝的影響は、当初心配されていたほど大きくはなかったと解釈されています。私も、その見解に賛成しています。(略)
広島・長崎原爆による被曝2世へ遺伝的影響については、放射線影響研究所の調査結果に基づいて、「あったとしても容易に観察されるほど大きくはなかった」と“はっきりいえる”と思っています。(略)
福島の汚染地域の女の子が、将来子どもを産めるのだろうかと心配していると聞いたことがあります。広島・長崎の経験をそのまま適用すれば、「心配にはおよばないよ」といえるでしょう。
ただ、広島・長崎の経験をそのまま福島原事故の汚染に適用できるのか、という問題が残ります。》
(今中哲二『サイレントウォー 見えない放射能とたたかう』(講談社)P238)
高橋真理子氏に対しても、「福島の事故は原爆とは一緒にできない、内部被曝外部被曝よりはるかに恐ろしいのだ」という批判が寄せられていた。
どう考えたらよいのか。
(つづく)