めぐみさん帰還を願う吉田直矢コンサート

takase222013-05-04

きょうは、よく晴れた。久しぶりに銀座へ。
ライオンビル6階で、連休中の4〜6日、「横田滋写真展〜めぐみさん 家族とすごした13年」が開催されている。
初日のきょうは、5階の音楽ビヤプラザライオンで「横田めぐみさんとの再会実現への〜響(ひびき)〜」というイベントがあった。滋さん、早紀江さんの講演と、バイオリニストの吉田直矢さんによるトーク&コンサート。
会場がビヤホールなので、食事をしてお酒を飲みながらという、拉致問題のイベントとしてはめずらしいセッティングだった。100人の会場は満席になった。
吉田直矢さんは新潟市の寄居中学校でめぐみさんと同級だった。めぐみさんはバドミントン部、吉田さんはバスケ部で、同じ体育館で練習し、帰り道も同じ方向だった
なんとか早くめぐみさんを両親のもとに帰そうと、このイベントを企画したという。
普段音楽をめったに聞かない私だが、吉田さんの熱のこもった演奏には感動した。
印象に残った曲は、まず、アメージング・グレース
作詞者は、黒人奴隷貿易で富を築いた人物で、後に悔い改めてこの曲を作ったという。奴隷貿易は人間を動物以下に扱う非人道的な行為で、拉致に通じる。いつか拉致を行った側の人間たちも悔い改める日が来ることを祈って演奏した、と吉田さんが解説。
チキリン・デ・バチン
吉田さんが尊敬するピアソラという音楽家の作品。チキリンは「ちび」の意味、バチンはブエノスアイレスのステーキ・レストランの店名で、「バチンのおちびさん」という曲。レストランに毎晩花売りにやってくる知恵遅れの4歳の少年に、お前の大変な境遇に考えが及ばなかった私を3本のバラで叩いてくれ。罪滅ぼししたい。ピアソラが体験した実話にもとづく曲だそうだ。
吉田さんは2008年にめぐみさんの両親に会うまで、拉致問題にさほど関心を持っていなかった。会って、家族の苦しみを知ったことから、これまでの無関心を心から恥じ、拉致被害者の奪還活動を始めたという。この曲は、そんな吉田さんの贖罪に重なる。
ボレロ
二つの旋律が繰り返され、次第に力強くなっていって最後は「爆裂」する。拉致被害者を奪還する運動も今がその爆裂するときであってほしい。もう今年来年で取り戻さなければ。
カルメン幻想曲
オペラの中で、カルメンは「自由を」「自由を」と叫ぶ。めぐみさんは拉致されて去年11月で35年になった。ずっと自由を奪われている。いまこそ自由を。
この曲を吉田さんは涙を流しながら熱演した。
最後は、早紀江さんが作詞した「コスモスのように」と「ふるさと」で締めくくられた。
「コスモスのように」はこんな詞だ。
遠い空の向こうにいる
めぐみちゃん あなたも
お母さんが育てたあのコスモスのように
地に足をふんばって生きているのねきっと
しっかりと頭を揚げて生きているのねきっと

めぐみさんはじめすべての拉致被害者の一日も早い故郷への帰還が叶うよう私も微力を尽くそうとあらためて思う。
バイオリンの熱演に加えて、めぐみさんや両親とのエピソードや演奏曲の解説も心がこもったいいトークだった。吉田直矢さんは、これから、めぐみさんが帰ってくるまで、チャリティコンサートを続けていくという。
きょうは取材だったが、こんどは客としてビールを飲みながら演奏を聞いてみたい。
チャリティコンサートで、料金はとても割安です。吉田さんのHP(http://www.naoyayoshida.net/)かフェイスブックで今後のスケジュールを確認して、ぜひお運びください。