まっすぐに、しなやかに(嘉田由起子)

takase222012-12-06

北朝鮮がふたたびミサイル実験をやろうとしている。
北朝鮮が何かやると、「なぜいまこんなことをやるのか」という「分析」をメディアがするのだが、今回もまた、韓国と日本の選挙に合わせただの、アメリカとの交渉への「揺さぶり」だのと詮索をする解説が見られる。
北朝鮮が核実験したりミサイルを飛ばしたりするのは、たんに「交渉の道具」を用意していると思いたいようだ。本気で核兵器開発をしているという事実を認めたくないらしい。多くの人民を飢えさせて国を傾けてまで必死で核開発をしているというのに・・。まあ、ミサイル打ち上げを金正日の命日に合わせるくらいのことはやるだろうが。
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対中国の外交姿勢も選挙の争点になっているが、いま、チベット人の自殺がかつてなく多くなっている事態が念頭にある政治家はどのくらいいるのか。
《中国ではチベット族焼身自殺が急増しており、今年11月以降だけでも30人が死亡した》(産経)
20年来の友人の中国人映画監督、翰光(はんぐぁん)さんから、日本人が中国との友好というときの姿勢を問いただされたのを思い出す。http://d.hatena.ne.jp/takase22/20120930
中国の共産党政権が、天安門事件民主化運動を弾圧したあと、人権抑圧への抗議として欧米が中心になって対中国制裁をしていたのだが、先進国で真っ先に制裁破りをしたのは日本だった。海部政権がほいほいと対中関係改善に舵を切った。翰光さんが言っているのは、日本は中国の抑圧者の側に立つのかということだ。いま、一部の政治家のいう関係改善はひょっとして金儲けのためのすりよりではないのか。アジア重視と言っても、ただ「仲良く」すればいいというわけではないのだ。
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さて、「日本未来の党」だが、勢いが急に失速し、新聞の予測では惨敗らしい。
小沢傀儡政党の批判は浸透していうえ、比例区名簿提出のドタバタはいかにも危うい印象を与えた。
まあ、今回は惨敗でもよい。私は日本が再生に動き出すには、一世代、30年くらいはかかると思っている。それに「義によりて」だから負けてもよい。これが将来の「芽」になることを願っている。
ところで、私は嘉田由起子さんが滋賀県知事になってからのさまざまな発言を興味深く思って、普通の知事ではないなとは思っていたが、これまで、人となりを知らなかった。
で、今回調べてみて、実に素晴らしい人であることを知った。

まず、研究者としての「スジ」がいい。生まれは埼玉県なのだが、中学の修学旅行で琵琶湖に魅了され、また京大の探検部にあこがれて京大農学部に入る。女人禁制といわれたが無理やり押しかけ入部。探検部の顧問が梅棹忠夫に吉良竜夫。当時若手だった石毛直道らにも薫陶を受けたという。
大学院はアメリカのウィスコンシン大学で、社会学を学ぶ。
アメリカに住んで、「日本人は個が確立していないからダメなんだ、だから戦争にも負けたんだ」といった当時はやりの「マインドコントロール」を脱して、のちに「生活環境主義」という学説を打ち立てることになる。この考え方はとてもおもしろく、まっとうであり、今後の日本の環境問題そして原発問題を考える上で役に立つ。
次回は、この嘉田さんの学説を紹介したい。
きょうの嘉田語録。
国政に出ることを決断する一週間前、嘉田由起子知事は、故郷の埼玉県本庄市の母校、本庄東中学校で開校50周年の記念講演をした。中学の修学旅行で比叡山から見た琵琶湖の美しさを熱く語ったあと、567人の全校生徒にこう呼びかけた。
「私には皆さんと同じ中学生の孫がいます。おばちゃんの言葉として聞いてもらえたらうれしいです。自分の意思を実現するためにはまっすぐに、心をつなぐためにはしなやかに。挑戦する気持ちをずっと持っていてほしいです
(写真は3日の千葉県遊説http://tanakaryusaku.jp/2012/12/0005748