円滑化法打ち切りで倒産が増える?

takase222012-12-07

空の青とイチョウの黄、師走だなあ。
年末の資金繰りでまたトラブルが・・。
某テレビ局からのお金が予定日に入金されないので、催促したらうちの請求書を社内で紛失したらしいという。これから急いでも手続きに5日かかるとのこと。その入金で支払う予定だった得意先に振り込めなくなるではないか。
またまた大変だ・・・。
自分のところがこんなドタバタだから、年末と言うと、中小企業の倒産で首をつったりする人がでないといいなと心配になる。ただし、実際には倒産件数は減っている。
08年、09年ごろ1万5千件を超えていた中小企業の倒産は、去年には1万2687件まで減っている。この減少には金融円滑化法という法律が一役かったといわれる。
2009年末に亀井静香金融担当大臣(当時)が唱道して金融円滑化法が成立・施行された。この法律は、融資の返済条件の変更に応じるよう金融機関に促した点で、画期的なものだった。
長引く不況で、中小企業の業績悪化が続くなか、回復まで猶予(モラトリアム)を与えようというのが立法の目的だった。中小企業の倒産を避け、雇用を守ろうとしたのである。
円滑化法の第一条にはこうある。
《この法律は、最近の経済金融情勢及び雇用環境の下における我が国の中小企業者及び住宅資金借入者の債務の負担の状況にかんがみ、(略)
中小企業者の事業活動の円滑な遂行及びこれを通じた雇用の安定並びに住宅資金借入者の生活の安定を期し、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする》
要するに、不況で、中小企業者と住宅ローンを払っている人が返済できなくて破綻寸前にあるが、これをなんとか助けますとうたっているのである。
この第4条には、中小企業者で《債務の弁済に支障を生じており、又は生ずるおそれがあるものから当該債務の弁済に係る負担の軽減の申込みがあった場合には、(略)できる限り、当該貸付けの条件の変更、(略)その他の当該債務の弁済の係る負担の軽減に資する措置をとるよう努めるものとする》とある。
資金繰りの苦しいタコ社長から、返済できそうもないので何とかしてくださいよ、と頼まれたら、銀行はなるべく返済の負担が軽くするようにしなさいと言うのである。
中小企業420万社のうち30〜40万社がこの法律を利用したという。
実は、他ならぬ私もその一人である。きのうは、朝、某銀行にリスケの契約に行った。
リスケとはリスケジュールの略で、返済条件の変更、繰り延べのこと。例えば、月々銀行に元金100万円と利息を支払っていたとする。資金繰りが厳しくなった場合、銀行と交渉して、元金返済をストップし、利息だけの支払いにしてもらって一息つけるようにするのである。
これは非常に助かる。
中小企業にとっての「セーフティネット」の一つと言っていいだろう。
ところが、先日ブログに書いたように、この法律は時限立法で、来年3月末まででおしまいになる。
野村證券によると、上場地方銀行84行の不良債権の処理費用は円滑化法の施行後、低く抑えられていたが、12年度上半期は1117億円と、前年度の同じ時期に比べて5割増えた。この費用には、融資の焦げ付きに備えて積み立てる「引当金」が入っており、これから倒産が増える「兆し」といえる》。(朝日新聞1日朝刊)
銀行は、来年4月以降、倒産が増えることを見越して動き出しているというのだ。倒産は失業保険の支払いの増大、生活保護世帯の増加、消費活動の低下を招き、ますます社会の活力を奪っていく。
そんな倒産を一件でも少なくしようと、いま、新著『あきらめるのは早すぎる』の刊行を急いでいるのだ。
(嘉田さんの本をまだ読みきっていないので、「生活環境主義」の紹介は次回にします