バックキャストで行こう

takase222012-12-05

御茶ノ水ニコライ堂と色づいたイチョウ
向かいの歩道では、写生したり写真を撮ったりする人の姿が。

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朝刊(朝日と日経)に「自民、単独過半数の勢い」の大見出し。マジかよ・・・
じゃ、このブログで「日本未来の党」を応援しよう。
橋下大阪市長が、太陽の党と合流した結果、脱原発から一気に転換して支離滅裂になっている。
日本維新の会代表代行の橋下徹大阪市長は、衆院選が公示された4日昼、日本未来の党が公約した「卒原発」を念頭に「『10年後に原発ゼロ!』と叫ぶのは、『10年後に火星に行くぞ!』と叫ぶのと同じレベル」とツイッターで批判した。これに先立つ衆院選第一声でも、日本未来の党代表の嘉田由紀子滋賀県知事を同様の文言で批判していた。》(東京新聞
原発をなくすのは火星に行くのと同じなのか。
テレビでは、「日本未来の党」に噛み付いて、「何年までに原発をなくすなんて、具体的な工程表がないのに言うのは無責任だ」と声を張り上げていた。
どっちが無責任なのか。しかし、日本ではこういうものの言い方が受けるのだろうなと思った。「現実的に考える」というフレーズが説得力を持つ社会だからだ。
この発言を聞いたとき、私は、「フォーキャスト」と「バックキャスト」という言葉を思い浮かべた。
「バックキャスト」というのは、スウェーデンの未来予測レポートなどでよく使われる、将来のあるべき姿を想定し、それに基づいて、いま、何をしたらよいのかを判断する手法だ。
例えば「2050年までにCO2を何%削減する」と将来のある時点の目標を先に設定し、そこからバックキャストつまり後ろに目標を倒してくる。それを達成するためには、「2030年にはこのくらい」、「2015年にはこのくらい」、「これから一年間ではこのくらい」にしないといけない、というふうに政策目標を逆算して決めていくのである。
明確なゴールを先に掲げているので、途中で政権が交代しても大きくぶれずに、具体的な措置をとることが求められる。このやり方で、スウェーデンが世界に先がけて、とても無理だろうと思われていた環境目標を達成してきたのはよく知られている。
実績では、スウェーデンは、環境税などさまざまな新しい手段を導入して、1990年から2008年の間にCO2の排出を12%削減することに成功した。なお、温室効果ガスを減らすと経済成長を阻害すると日本の財界は言うが、この期間にスウェーデンGDPは50%増加している。今は2020年までに温室効果ガスの排出を40%削減する目標に向かっている。
一方、「バックキャスト」の反対の「フォーキャスト」は日本のやり方である。
《日本の政府や自治体から、そして多くの環境NPOから、さらにはマスメディアから提供される「環境対策のメッセージ」のほとんどは「できること(ところ)からはじめましょう」というものです。これは現状から前(将来)をみる「フォアキャスト」と呼ばれる考えかたです。この方法では、最終的に到達すべき明確な目標を持たないままにそれぞれがバラバラに前進するため、労力、費用、時間をかけて努力したにもかかわらず、「報われない結果」を、あるいは、「現状よりもさらに困った状況」を招くことになりかねません。》http://d.hatena.ne.jp/takase22/20111011
原発を何年までにゼロにする。そこから逆算して、今年はどこまで進まなければ・・というふうに政策を決めていかなくては脱原発などできはしない。
やれるところから現実的に、という日本人に受けるフレーズは、我々がどっぷりとフォーキャスト思考に染まっているからなのだ。