今夜の「ガイアの夜明け」、「日本人の知らないニッポンの魅力〜新戦略で外国人観光客を呼び込め!〜」はいかがでしたか。
ここに登場したジャパン・ガイドというサイト。観光の企画を作る過程で初めて知った。
月間ページビュー600万。英文での日本の観光ガイドとしてはダントツのナンバーワン。開いて見ると、ただの観光案内にみえるが、ページを繰っていくにつれ、すごさがわかる。とにかく徹底した現場主義で、スタッフが手分けして直接に足を運んでいる。
トップページの紅葉リポートは、11月19日高尾山、21日東京/京都、22日京都、23日宮島、25日京都、26日京都、27日東京と細かく刻んでいる。ただの紹介ではなくエッセイ風に仕上げてあり読みやすい。写真も実に美しく旅情を誘う。(写真は27日の東京紅葉リポートから)
私たちは、9月に、ジャパンガイドの社長、スイス人のステファン・シャウエッカーさんが大雪山に行くのに同行して、今年最初の紅葉リポートをアップするところから取材をはじめた。
“koyo front”(紅葉前線)という造語まで使って、北海道から色づきの移動を追って日本を縦断するこのリポートは毎年続いている。
リポートの最初のページには「日本では、春といえば桜、秋といえば紅葉である。紅葉を見ることは、日本では、何世紀も昔から親しまれてきた行事である」と説明がある。紅葉は日本人にとって特別なものなんだなと気づかされる。
ステファンさんに、「スイスにも紅葉はあるんでしょう。どっちがきれいですか?」と尋ねたら、「スイスにも紅葉はあります。きっと、あったはずなんですが、覚えていないのです。紅葉をあまり意識していなかったから」と答えた。「今度スイスに帰ったら、よく観察してみます」とも。つまり、紅葉を美として愛でる習慣がないのだ。
ああ、これが民族的な感性の違いなんだなと思った。秋の虫の音は、世界の多くの地域では、ただの昆虫の出す音にすぎないが、日本人はそこに特別な思い入れを持って聴くというのに通じるのだろう。
葉っぱが枯れていくという自然の移ろいの一つのシーンに過ぎない色づきを、特別な入れ込みで愛でるのが、日本人にとっての紅葉なのである。いろんな花があるのに、春の桜が日本人の特別な情緒を刺激するのも同様である。
そこに目をつけて、ステファンさんは紅葉を外国人を日本に呼び寄せる秋のアトラクションに位置づけている。そして”koyo“を「スシ」や「ジュードー」、「イケバナ」のように日本語のままで世界に通用させようとまでしている。
日本人にはこんな発想はない。こういう外国人目線が、外国人を日本に呼び寄せるのに貢献している。ステファンさんの事務所には、他に奥さんの光代さんとアメリカ人とシンガポール人のスタッフがいて、欧州、米国、アジアの視点がうまく配置されるようになっている。
さらにすごいのは、被災地復興を観光で後押ししようと精力的に取り組んでいること。
トップページでは一番目立つところに「フクシマ・トラベル・スペシャル」(福島観光特集)があって、福島を応援している。
また、「震災から1年半」特集には、被災地の現状が定点観測でしっかりリポートされている。
きっかけは、震災直後、世界中にトンデモ報道があふれたことだった。「東京からエクソダス(大脱出)」などとセンセーショナルな記事が出回った。誤解が広まるのを憂えて、被災地の正確な情報を発信しようとステファンさんは思った。そこからさらに、被災地に観光客を戻すことで復興に貢献しようと考えるようになったという。
10月の取材結果をのせたこのページを見てほしい。
http://www.japan-guide.com/blog/recovery/121012.htmlwww.japan-guide.com
何枚かの写真の右下に黒枠があり、撮影日とclick hereとある。ここをクリックすると、同ポジで撮った以前の写真が出てきて、今の復興状況が分かるのである。
ここまで被災地のことを考えて運営されている観光情報サイトは、日本語でもないだろう。心から感謝し、応援したい。がんばれ!ジャパン・ガイド。
ジャパンガイドについては、もっと書きたいことがたくさんあるのだが、おいおい紹介していこう。