拉致報道15年―拉致と人権3

takase222012-02-11

東京はよく晴れて久しぶりに寒さはゆるんだ。
冬は色が少ないだけに、柑橘類の黄色が目立つ。近所の夏みかんが鮮やかに目に飛び込んできた。冬になるのになぜ夏みかんなのだろう。
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そろそろバレンタインなので、娘の高校では女生徒たちが「友チョコ」を懸命に手作りしてるらしい。娘も浮き足立っているかと思ったら、クールに「みんな騒ぎすぎ」だと。手作りトリュフに「指紋」がついてたり、カラーシュガーが多用されていたりすると興ざめだという。「買いチョコ」で十分だそうだ。
一方、北朝鮮の人々にバレンタインのプレゼントを贈ろうという「愛のチョコパイ作戦」がはじまった。
呼びかけは北朝鮮難民救援基金で、「自由と人権の味」を食糧支援の一環として送るというもの。
《陸路で私たちのネットワークを通じて配給する一方で、風船での「空輸作戦」も始めたいと思います。韓国製のチョコパイであれば約¥300で1箱(12個)送れます。チョコパイは開城工団でも北朝鮮労働者に一番人気があるといいます。栄養価、カロリーの高いものですので口に入れば栄養補給にもなるでしょう》
一口500円で募金をつのっている。希望者は「空輸作戦」にも参加できるという。面白そうだ。
http://www.asahi-net.or.jp/~fe6h-ktu/topics120130.pdf
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拉致問題については、一つ確認しておきたいことがある。
それは、「拉致被害者は生きている」ということである。
「生きていることを前提に」のスローガンについては、一般にも誤解があると思う。「亡くなっている事実を認めたくない家族の心情」として、お気持ちは分かりますけど・・・というふうに理解している人がけっこういるようだ。
北朝鮮のいう「全員死亡」を受入れているらしい日本の影響力ある人たちもいる。
田原総一郎氏が、有本恵子さんら未帰還の拉致被害者について「外務省も生きていないことは分かっている」と発言して騒ぎになったことがあった。
この発言は3年前の「朝生」でなされ、有本さんの両親が計1千万円の慰謝料を求めて田原氏を訴えたのだった。去年11月4日に判決が出た。「発言には合理的根拠がない」とし田原氏に対して有本さんの両親に計100万円を支払うよう命じるものだった。
「生きている」は、家族の心情ではなく、事実なのである。
北朝鮮側が「8人」についての死亡証明を全くできていないのはすでに知られている。日本政府の追及で、「死亡証明書」が「捏造」であることを北朝鮮も認めている。
なにより、帰国した拉致被害者たちがはっきり語っているのである。
去年12月、金正日が死亡したときに出したコメントから;
蓮池薫さん(新潟県柏崎市):
「日本政府が今後の情勢を慎重に分析・判断して、まずは残されている拉致被害者の皆さんの安全が保障されるように最善を尽くしてくれるよう切に願っております」
地村保志さん富貴恵さん夫妻(福井県小浜市):
「私ども帰国した拉致被害者が一番心配しているのは、未だ帰国が果たされていない拉致被害者の安全・安否です。国に対しては正確な情報の収集と帰国していない拉致被害者全員が無事帰国出来るよう、全力で取り組んでもらうよう強く希望します」
曽我ひとみさん(新潟県佐渡市):
「新しい体制に代わるこのチャンスを生かし、拉致された被害者全員の救出に尽力してくれることを望みます」
彼らはみな、未だ北朝鮮に残ったままの仲間たちにいつも思いをはせているのだ。
「生きている」証拠として、これ以上、確かなことがあろうか。
(つづく)