福島原発で何が起きているのか6

takase222011-03-26

公園に黄色い花を見つけて近づくと、ヒイラギナンテンだった。
ちょっと地味だが心和ませる花である。
さて、原発事故の放射能漏れがどんどん拡大している。
高濃度の放射能の水がたまっていたのは、作業員3人が被爆した3号機だけではなかったし、海水のひどい汚染もあらためて確認された。
東日本大震災による福島第1原発の事故で、東京電力は26日、放水口付近の海水から、法令が定める濃度限度の約1250倍の放射性ヨウ素を検出したと発表した。これまでは100倍前後で推移していた。
 25日には各号機のタービン建屋で、原子炉から漏れたとみられる高濃度の放射性物質で汚染された水がたまっているのを確認。東電は「汚染された水が海に流れ出た可能性が高い」とみている。
 経済産業省原子力安全・保安院は「拡散するので濃度は相当薄まる。半径20キロ以内は避難区域で漁業が行われておらず、周辺にただちに影響があるとは考えていない」としている。文部科学省の船舶による約30キロ沖での測定値に大きな変化はないという。(略)
 東電は25日、3人が被ばくした3号機に続き、1、2、4号機のタービン建屋でも水がたまっているのを確認。1号機の水の放射線物質の濃度は1立方センチ当たり約380万ベクレルで、3号機と同様、通常の炉心にある水の1万倍に相当。セシウム137など損傷した燃料から出た可能性がある物質が含まれていた》(東京新聞
問題が出てくるといつも「ただちに影響があるとは考えていない」と発表され、冷静に対処せよと言われる。
だが、海に入った放射性物質が、プランクトンからはじまって食物連鎖でどんどん累積されていくことは素人でも知っている。いま近くで魚を捕っていないからといって安心できることではない。
《福島第1原発1〜4号機の復旧作業が難航している。強い放射能を持つ汚水がタービン建屋に漏れ出し、作業が困難になっている上、原因不明の火災や発煙も相次ぐ。運転再開は絶望的で、それ以前に原子炉を安定的に冷やすのに必要な冷却機能も回復していない。炉が安全な状態になるまでには1カ月単位の時間が必要との見方も出ている》(毎日新聞
大事なのは、早く原子炉の冷却システムを通常時に近づけること、そして放射性物質の流出を止める手立てをとることなのだが、初歩的なミスなどが目に付き、非常に心配になる。こんな非常時に、これほど杜撰な作業態勢かと驚く。現場で決死隊として作業する人たちの身が心配になる。
きのう、静岡県知事、川勝平太氏の原発の「ソフトランディング」論を紹介した。
将来的には原発依存をやめるが、停電を避けるために既存の原発は運転を続けるというものだ。
しかし、これには強力な反対論がある。
原発の危険を訴え続けてきたノンフィクション作家の広瀬隆氏が、こう主張している。
原子力がなくとも、発電所はありあまっている。今回の「電力不足」は、火力発電所が大地震の被害で復旧していない、もしくは急遽立ち上げるのに手間取っているからだ。
実際、東京電力は、2003年4月15日、首都圏に送電する福島と柏崎刈羽のい原発17基をすべて止めた。原発の重大な欠陥を隠蔽し、データを改竄していたことが発覚したため、原発を止めざるを得なかったのだが、その後、真夏ですら停電はなかった。
日本全体が地震の活動期に入ったいま、「運転しながら安全対策を強化していく」などと悠長なことでは間に合わない。地震国日本にとって、津波は天災だが、悲惨な原発事故は人災だなのだ》
週刊金曜日3月25日号広瀬隆論文より)
原発がなくとも日本の電力需要がまかなえるということは、以前聞いたことがある。統計を見ても確かにそうだ。http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010energyhtml/2-1-4.html
計画停電で、停電に敏感になっているいま、夏場はもっと厳しい停電が必要になるとの記事が流されると、日本の原発依存度が非常に高いというイメージをもってしまう。
政府には、「原発ありき」の電力会社の出す資料に乗っからずに、火力発電の復旧スピードと必要電力の調整を行ってほしい。その上で、今必要な原発があるのかどうかを判断すべきだ。
また、すべての原発を一挙にとめられないとなった場合には、危険度の大きい原発の停止を優先すべきだろう。