福島原発で何が起きているのか7

福島原発では、いま少なくとも1〜3号機で早急に炉心冷却のシステムを立ち上げなくてはならないが、そのための作業がいわゆる放射能漏れで妨げられるという事態になっている。
《東電は22日までに、同原発の全6基で外部電源の受電を完了。1〜3号機では中央制御室の照明も点灯した。今後、真水を原子炉に注入する補給水系ポンプに電源を供給し、原子炉や使用済み核燃料プールの当面の冷却を行う。続いて、原子炉内の水が100度以下に冷える「冷温停止」という安全な状態に持ち込むことを目指す。
 しかし、冷却に必要な電源を供給できるのか、できたとしても正常に動くかは未知数だ。特に1、2号機では、タービン建屋の補給水系ポンプが津波の浸水で破損。予備のポンプに交換する予定だが、2号機のタービン建屋では毎時500ミリシーベルトの高い放射線が計測され、遮蔽(しゃへい)などの被ばく対策を施さなければ作業ができない。
 また、冷温停止状態に必要な別のポンプは原子炉建屋の中にある。さらに強い放射線があることが予想され立ち入るめどすらたっていない。保安院は「通常だと冷却機能が回復してから約1週間で冷温停止状態になる。今回はそこに持ち込めるのかどうかは分からない」と言葉を濁す》(毎日新聞
放射性物質が漏れ続けるのを止めなくてはならないが、どこからどのくらい漏れているのか自体よく分かっていないようだ。
放射線が強くなっていくと複数の原子炉の危機が同時に進んでいくという怖いことになる。
きのう26日の会見では、
《会見終盤には、報道陣から原発の状況について、今後の最悪のシナリオをどう想定し、対策を立てているのか質問が飛んだが、副社長は表情を変えずに、「水を入れ続け、原子炉を安定させることに尽きる」と繰り返すばかりだった。
 会見は約一時間半。職員が「所用がある」として打ち切られた》(東京新聞
 ここまで事態が来ている以上、最悪のシナリオを想定した上で、情報公開してほしい。
今回の原発事故は、東電は「想定外の津波」という天災だとしたいようだが、これは明らかに人災だ。
最高5.5?の高さの津波を想定していたというが、日本では、19世紀になってから場所によっては30?を超える津波が2回もあったという。
1896年 明治三陸地震 - 岩手県綾里 津波高さ38.2メートル、死者不明者22,000人。
1993年 北海道南西沖地震 - 奥尻島津波高さ 30 メートル - 死者・不明198人。
こうした情報があるのに「想定」しなかったのである。
浜岡原発3号機の運転再開が話題になっているが、今の安全基準では不安に駆られるのももっともだ。
浜岡原発は東海、東南海、南海の3つの地震が連動して発生した場合、マグニチュード(M)は8.7、津波の高さは8メートル程度を想定している。新たに設置する非常用のディーゼル発電機は、炉心を冷却する設備などに素早く電源を供給する。発電所の海側に、海水面から見て高さ12メートル以上のコンクリート製の防波壁を新たに設置するなど、津波対策の強化も急ぐ。
 しかし協議会では、首長から「地震想定が現状のM8.7のままでは、原発推進は無理」(松井三郎掛川市長)、「津波対策が新たにできない限りは(原発の稼働を)止めてもらいたい」(西原茂樹牧之原市長)などの意見が相次いだ》(日経)
東日本巨大地震を受けて中電は、浜岡原発の太平洋側に12メートル以上の防波壁を新設するほか、非常用のディーゼル発電機を25メートルの高台に設置することなど、新たな津波対策を発表した》(読売)
25?の高台でも、30?の津波にはやられてしまうのではないか。