金賢姫報道によせて

takase222010-07-25

24日のTBS報道特集で特定失踪者を扱っていた。
22日、金賢姫を囲んで中井大臣や国会議員が夕食会をやってるホテルに特定失踪者問題調査会の荒木和博代表が、行方不明になった人たちの膨大な写真をもって、金賢姫に見てもらいたいと押しかける。
田口八重子さんの息子、飯塚耕一郎さんが、金賢姫は、特定失踪者の写真のなかに見たことがある人が何人かいたと言っていると会見で語った。拉致問題の情報が得られるとの触れ込みで金賢姫を呼んだことからも、調査会の要請は、いの一番に認めるべきではないか。
ところが、すげなく断られ、調査会は夜、緊急記者会見を開く。
「宴会をやってる場合なのか。ご家族は『死亡でもいいから』と情報を求めているのに」と涙する荒木さん。
http://www.netlive.ne.jp/archive/SII/
その姿に、今回の来日の問題点が凝縮していたように感じた。

特定失踪者問題調査会への面会を拒否し、時間がないとしながら、NHKと日本テレビには単独インタビューを許している。
2社の映像を見ると金賢姫の服が別だ。あらかじめ予定に組まれたインタビューだということが分かる。それぞれ1時間を与えられたという。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100723/t10015927681000.html
http://news24.jp/articles/2010/07/23/07163396.html
本来、金賢姫は国会にも呼び、きちんとした記者会見を開くべきだったと思う。
金賢姫がほとんど軽井沢の別荘にこもって表に出なかったなかで、2社へのインタビューは非常に特別な措置である。

さて、日本のマスコミは肩書きにうるさく、金賢姫についても悩ましい。爆破テロの実行犯という過去があるから「さん」は使えない。
そこで、大きく「元工作員」と「元死刑囚」に分かれる。新聞、通信社はほとんど「元工作員」。毎日は「元工作員である金賢姫元死刑囚」という表現を多用した。
テレビでも多くが「元工作員」。インタビューできたことと関係はないと思うが、NHKと日本テレビだけが「元死刑囚」を使う。

ところで、日本テレビ金賢姫単独インタビューには、注目すべき質問が含まれていた。
少女の写真を見せて、これはあなたですかと聞いたのである。北朝鮮でとられた写真。それは、金賢姫の「存在証明」にかかわっていた。
(つづく)