日本が勝った!

takase222010-06-26

勝ちましたねえ、デンマーク戦
私はふだんサッカーなど関心がなく、Jリーグの試合を一度も観たことがない人間だが、サッカー通の友人が「日本サッカー史上、もっとも重要な試合だ」と言うからには、国民として観なくては・・・。しかし・・
1時に寝床に入って2時間後に起きるはずが、寝過ごしてしまった。試合が終った直後に目を覚ましたのは、きっと、「日本が負けるのが怖いから、ライブでは見たくない」という潜在意識のなせる技だろう。勝ったと知ったあと、安心して録画を楽しんだ。
日本が入れた3本とも、芸術的な素晴らしいゴールだったと思う。特に3点目、本田の高い技能と冷静な判断力には感心した。記録上は同じ1点でも、オウンゴールペナルティキックによるゴールとは感動が違う。
この試合で日本は一変した。サッカーの試合一つが、ここまで世の中を変えるものなのか、と驚かされる。通勤列車の人の表情も明るくなったように感じる。
きょうのほとんどの朝刊が社説でこの勝利を扱っている。日本に元気をくれてありがとう、という趣旨だ。国民が一体になって喜んだり悲しんだりすることはいいことだと思う。特に今のような国家的な危機の時代は、自分のことにしか関心がないという人ばかりでは乗り切ることが難しい。
逆に、惨敗したフランスやイタリアでは、責任をめぐって政治問題化しかねないという。
スポーツの国際試合は、国家への帰属意識を強く意識させる。もともとスポーツには紛争の代替という一面がある。
古くは相撲だって紛争解決の手段だったのだし、戦争の代わりに何らかの競技で決着を図るというのは、世界各地で見られた慣わしだった。いたずらに殺しあうのはやめようという、人類の知恵と言ってもいい。
だから国家の代表としての闘いぶりに夢中になるのだが、サッカーはスポーツの中でも特別だ。行き過ぎてとんでもない事態になったこともある。
1969年、サッカーの試合の恨みで、エルサルバドルホンジュラスが本格的な戦争に突入した。以前から両国は移民問題でもめていたのだが、サッカーが引き金になり、爆撃などでホンジュラスの数千人が死亡している。
今回のW杯には北朝鮮代表が出場した。北朝鮮は66年のイングランドW杯でアジア勢としてはじめてグループリーグ突破を果たしたエピソードを持つ。今回、ポルトガルに0対7で負け、3戦全敗となったが、監督や選手が帰国後、処罰されないか心配だ。
66年のときには、帰国後、敗戦の責任追及の過程で、英国女性と遊んだ不祥事が発覚し、選手たちが収容所に送られている。(姜哲煥・安赫『北朝鮮脱出』上 文春文庫)
ワールドカップは、サッカーの試合以外に波及していく事柄がとても多い。
この辺が、サッカーが、もっともグローバル化したスポーツと言われる所以なのだろう。