共働きには深刻な病児保育の遅れ

takase222010-03-11

きょう、カメラマンの松井美喜夫さんが来社。表彰状とガラスの楯を携えている。
ジン・ネット制作のNHKのドキュメンタリー「いのちみつめて〜心臓移植待機患者」で、先月、《ゴールドカメラマン賞》に輝いたのだ。賞の主催者は「NHKメディアテクノロジー」というNHKの技術を担う子会社。松井さんは、プロ集団に評価されたわけである。
表彰状は「撮影者は小型カメラを選択 収音も自ら行いながら 患者の体調への配慮 限られた撮影時間の中でゆっくりと ゆるぎない人間関係を築き 不安と期待に揺れ動く患者たちの心のひだに触れる撮影をおこなっている」と讃えている。
一般には、ディレクターがカメラマンより「上」と見るむきがあるが、ドキュメンタリーは撮影者の力に負うところが大きい。私は、有能なディレクターからカメラマンに転向した人を知っている。「歯がゆくて、自分で撮りたくなった」からだという。
今夜の日テレ「ニュースZERO」の特集で、「病児保育」が放送された。
内閣府の調査では、保育所に期待するサービスとしては、「待機しなくても入所できるよう、保育所の数や定員を増やす」64.9%に次いで、「病児・病後児保育の充実」が54.7%
だったという。(平成20年内閣府少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査」調査対象:子どものいる20〜49歳の女性4000人)
不況のなか、一家で一人だけが働く、いわゆる「一馬力」の家は少なくなり、共働きが増えていることもあって、この問題は深刻だ。
例えば、VTRに出てきた東京、江戸川区の四人家族のケース。5歳の長女がおたふく風邪にかかった。治るまで10日間くらいは、保育園への登園は禁止となる。そこは夫婦共働きで、どっちもそんなに長い休暇は取れない。今どき、どの会社、組織も余剰人員などいないから自分が休めば他の人に迷惑をかける。親が近くに住んでいるわけでもない。どうしたらいいんだ!?ということになる。
子どもの病気で休んだために会社を辞めざるをえなくなったケースも登場していた。
保育所が、全国でおよそ2万3千か所あるのに対して、病気の子どもを預かる病児保育施設は、わずか322か所。すぐにいっぱいになって、利用できないことも多い。他方、施設側から見ると96%が赤字経営。病児がたくさん押し寄せる日もあれば一人も来ない日もある。しかし、スタッフは常に一定数確保しておかなくてはならない。
各地の現場に密着して取材した矢野佳代子ディレクターは、自ら結婚を控え、他人事ではなかったという。力の入った取材だったようだ。
日本は、「子の看護休暇」が「小学校就学前の子を養育する労働者一人につき、年間5日まで」。
イギリスが「16歳未満の子につき年間各親10日まで」
スウェーデンにいたっては、「12歳未満の子につき年間60日まで」という「看護休暇」が権利として認められる。
休暇制度だけとっても、日本の立ち遅れが目に付く。