タコ社長は今

takase222009-12-18

裏日本では本格的な雪になってきた。山形は記録的な降雪だという。東京も冷え込んでいる。
連日、金融機関を回って、資金繰りの相談をしている。今年の苦しさは例年の比ではない。会社は青息吐息だが、年末年始は誰にとっても特別な時だから、ちゃんと年を越せるようにしたい。
銀行に聞くと、苦しいのはうちだけじゃないようだ。連日、返済条件の変更(リスケジュール)の申し込みが押し寄せているという。売り上げが去年の半分になった会社も珍しくないという。銀行の人と話すと、不景気の深刻さが具体的に分かる。このままで日本はどうなってしまうのか心配になる。
男はつらいよ』のタコ社長を思い出す。
借金に追われ、資金繰りに苦労し、税務署にいじめられ、いつも、「あー、忙しい、忙しい」「カネがほしい」、「もうオレ死にたいよ」などとドタバタ騒いでいる。
そして寅さんにからかわれると、「いいか!寅、てめえなんかにな、中小企業の経営者の苦労がわかってたまるか!」と泣く。
「ニッポンの中小企業」がどうしてこんに大変なのか、映画に笑いながら、正直、私は知らなかった。
ふと省みると、自分がまさにタコ社長そのものではないか。人間、お金がないと、頭の中がパニックになりそうになる。タコ社長がドタバタしていたのは当然だったのだ。
あのタコ社長、どうしているのだろう。
80年代から仕事が韓国や台湾など安価な国へシフトしていって、日本の印刷屋さんはどんどん消えていった。「とらや」のウラのあの小さな印刷工場なら、きっと、とっくにつぶれているだろう。
長女あけみ(私が大好きな美保純が演じていた)を筆頭に、たしか4人いた子どもたちは、どうしているだろう。
きのうのブログから一転して、きょうは身過ぎ世過ぎの話になってしまったが、風が冷たい師走の日に、日本中のタコ社長たちにエールを送りたい気持になった。