セミパラチンスクと北朝鮮3

先日このブログに書いた「ル・モンド」紙の意見広告を、三浦小太郎さんが、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」のホームページで、紹介してくれた。http://hrnk.trycomp.net/news.php?eid=00138
三浦さんは、この意見広告に「深い感慨を覚えまる」と書いている。それはなぜか。
三浦さんは以前から、北朝鮮問題を人権というキーワードで解いていくべきだと主張し、そのための行動を日本で先導してきた。彼はフランスでの動きに触発されたという。
北朝鮮民衆に人権を」という主張は十年前、1999年3月10日に「フィガロ」紙に掲載されたフランス知識人21人の声明で明らかにされた。
三浦さんは日本でも同様の動きを作り出そうと多くの人に手紙で訴えた結果、1999年11月に「北朝鮮民衆のための人権宣言」が発表された。http://hrnk.trycomp.net/archive/karu30.htm
思えば、十年前、フランスから発せられた「北朝鮮民衆に人権を」の声が、三浦さんたちの努力もあって日本でも広がり、回りまわって今回、日本人がフランスの新聞で訴えているのである。三浦さんの「感慨」の背景はこういうことだ。
99年11月の日本の「人権宣言」が発表されると直後、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は「悪らつな冒涜」「日本反動勢力の限度を超えた反共和国敵視策動」と非難を浴びせた。「人権」を持ちだされることは北朝鮮当局には非常に困ることなのだ。
今回の「ル・モンド」紙への意見広告でも、北朝鮮から何か反応があればうれしいのだがどうだろうか。
三浦さんの話を書いてきて、「守る会」が呼びかけている《将軍様へのハガキを出そう》運動を思い出した。もう運動は「第5弾」になっている。
ハガキの表に金正日と妹の写真があるのがミソだ。北朝鮮では、金日成将軍様の肖像や写真を粗末に扱ってはならない。紙幣は金日成の肖像の部分を折り曲げてはならないし、新聞に載った将軍様の写真を踏みつけたりしたら大変なことになる。
つまりこのハガキが北朝鮮に着けば、破ったり捨てたりはできないのだ。
裏に朝鮮語のメッセージがある。第4弾ではミサイル問題をテーマにしていたが、第5弾では後継者問題に触れている。
偉大なる将軍様
お体の具合はいかがでしょうか。将軍さまの健康を心より心配申し上げます。外国の報道機関ではしきりと後継者問題を取りあげておりますが、どうか次の指導者は、人民による公正な民主選挙で選んでいただきますようお願いいたします。
共和国の健全なる発展を願い、つつしんで以下の要請をいたします。
政治犯に対し公正な裁判を保証し、拷問や奴隷労働・死刑などの非人道的行為を禁止してください。
○日本から帰国した在日僑胞の安否を公表し、彼らの朝日間自由往来を認めてください。
○貴国の秘密工作機関が拉致したすべての外国人(南朝鮮人もふくめて)を解放してください。》
切手代は70円。きれいなデザインの50円と20円の切手を選んで貼ってポストに入れた。
ひょっとして平壌の切手好きの郵便局員が「あ、すてきな切手だな」と家に持ち帰ったりして・・・。こんな想像をするとちょっと楽しくなる。
(つづく)