数日前、金正日へのハガキを2枚出した。
時節柄「年賀状」となろうか。
金正日の写真が印刷してある。北朝鮮では、親愛なる指導者同志の写真、肖像を踏んづけたり、破ったりしたら厳罰に処せられる。だから、このハガキは決して粗末に扱われることはない。余っていた記念切手を貼ったので、珍しがって家まで持っていく郵便局員がいるのでは、などと想像すると楽しくなる。
裏には、拉致被害者を帰せなどの要求が書いてある。
これは三浦小太郎さんが代表の「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」が推進しているたった70円でできる抗議運動で、時々図柄や要求内容が更新される。
ちなみに、今は収容所廃絶を要求する以下の文章になっている。
「偉大な将軍様
国際社会は貴国の人権状況を深く憂慮しています。とりわけ管理所における政治犯の処遇には批判が集中しています。各地の政治犯管理所の所長同志たちに次の事を命令してください。
(1)死刑と拷問の中止
(2)政治犯たちに十分な栄養と医療の保障
(3)政治犯たちに公正な裁判の保障
(4)政治犯本人以外の家族は即刻釈放
現在は犯罪者にも人権を保障するのが世界的常識です。私は貴国の人権状況の改善とともに貴国人民の幸せを願っています」
以下のホームページからハガキが印刷できるので、ぜひ協力してください。
http://hrnk.trycomp.net/letter.php
きのうの日記で、三浦小太郎さんの本『嘘の人権 偽の平和』(高木書房、1200円)から一部を紹介したが、ちなみに他の章には、
《日韓保守連携の思想的原点 福田恆存を読み直す》
《勝田吉太郎 神とアナーキズムを愛したリベラリスト》
《渡辺京二『日本近世の起源』を読む》
《物語としての天皇》
《今こそ、希望を サルトルが指し示す未来》などがあり、どれも背筋を伸ばして読まなくてはと思わせる、本格的な評論である。
最後の章では、北ベトナムを支持し、中国の文化大革命を擁護した左翼同伴者、サルトルが、後にそれらの運動の悲劇的結末を知り、苦悩の末にたどり着いた、新たな思想的境地を取り上げている。
サルトルは、1979年、「宿敵」とまで言われた保守派の代表的知識人レイモン・アロンと共に、「解放」ベトナムから逃げ出してきたボートピープル支援に立ち上がった。これを三浦さんはこう評し、日本の知識人に対比させる。
「ここ日本になぞらえれば、大江健三郎。江藤淳の両氏が中朝国境の北朝鮮難民救援のために連帯したに等しい出来事である。決して冗談ではなく、このような連帯がなしえない所に、日本の『戦後民主主義』がついに政治的党派性を超えられなかった限界があるのだ」
(つづく)